エースにはエースで対抗する。日本シリーズ進出をかけたクライマックスシリーズ(CS)は今日12日、セ、パ両リーグのファーストステージが開幕する。阪神は今日の開幕広島戦(甲子園)で、能見篤史投手(34)を先発させることが濃厚になった。当初はメッセンジャーが予想されたが、3年連続2桁勝利の左腕に託す方針のようだ。メッセンジャーは第2戦、黄金ルーキー藤浪は第3戦に準備する。

 悲願のCS初突破へ、重要なファーストステージ開幕戦の先発マウンドを能見に託す可能性が高くなった。これまで、初戦はチームトップの12勝を挙げたメッセンジャーが有力視され、能見は第2戦の先発が予想されていたが、ここにきて苦手前田健にぶつかる相手として、虎投の大黒柱の名前が浮上した。

 チームは先発隠しを徹底していた。9日には能見、メッセンジャー、藤浪の3人がまったく同じ調整を行い、投手陣への取材も練習前しかできない異例の規制が敷かれた。10日以降も複数の投手がブルペンに同時に入り、誰が実際に投げたかをカムフラージュするなど策をほどこしてきた。その中で、今日の大一番には能見が照準を合わせて調整を進めてきたようだ。

 能見はシーズン最終登板となった1日中日戦(甲子園)で3回3失点。投球中に左手親指の爪で薬指を傷つける負傷があり、早期降板した。翌2日には出場選手登録を抹消され、以降の実戦登板機会がないままCSへ直行。8日に予定されていたシート打撃の登板も回避していた。

 この日、中西投手コーチが「本人が打者を相手にしなくてもいいと言っているから。ブルペンではしっかり投げられている」と話すなど、登板への支障はまったくないようだ。シーズンでは、9月18日の広島戦で9回4安打1失点の完投勝利をマークしている。

 同時に、黄金ルーキー藤浪のサプライズ先発の可能性も残る。1勝1敗となった場合の第3戦を任せる予定だが、6月7日の広島戦では前田健との投げ合いを6回3安打無失点で制したことがある。メッセンジャーは明日13日の第2戦が濃厚。天敵であるマエケンとの激突を能見で制し、ファーストステージ突破へ勢いをつける。