阪神のドラフト6位岩崎優投手(22=国士舘大)が9日のオープン戦巨人戦(甲子園)に先発することが3日、分かった。安芸キャンプで評価を上げ、テストされた1日ロッテ戦も3回無失点。首脳陣の期待を背負い、開幕カードで激突する宿敵との今季初対戦に大抜てきされた。G狩りに成功すれば先発ローテ滑り込み、中継ぎ待機での開幕1軍も不可能ではない。

 下克上へ向け最高の舞台が用意された。相手は昨季のセ・リーグ王者、巨人。ステージは本拠地甲子園だ。阪神岩崎がそのマウンドに立つことが分かった。先発予定だった筒井の中継ぎ再転向が決まり、チャンスが転がり込んできた。結果を残せば、先発ローテ争いに本格的に名乗りを上げることになる。

 真価を問われるマウンドだ。球速は140キロに満たないものの、ロッテ成瀬に似た投球フォームから低めに集める。球持ちがよく、出どころが見づらい。決め球シンカーの変化は大きく、奪三振率も高い。キャンプは安芸組で過ごし、実戦2試合で計6回無失点と結果を残した。

 宜野座にいた指揮官の耳にも情報が入り、1日のロッテ戦(安芸)で登板機会を得た。雨の降りしきるなか3回無失点で3奪三振と好投。試合後には中西投手コーチが「ポーカーフェースがいいね。(ローテの)谷間としてなら十分に使える。次は先発させようという話になっている」と合格点を与えていた。

 巨人を封じれば開幕1軍のチャンスは広がる。前日2日には5年目二神が4回1安打無失点と結果を残すなどローテ争いは激しさを増している。能見、メッセンジャー、藤浪の3本柱以降では榎田、岩田、秋山が1歩リード。岩崎にとっては険しい道のりではあるが、仮に先発6枠から漏れた場合でも、中継ぎ左腕が不足しているだけにブルペンを支える候補としても可能性は広がる。

 この日、都内で新人研修会に参加した。楽天松井裕、広島大瀬良ら話題のルーキーたちの中に入れば、地味~な存在なのは否めない。だが、プロは結果がすべての世界。「まだまだな部分があるので、これから本当の実力が分かるし続けて結果を出せるようにしていきたい」と気合を入れた左腕にとって大チャンス。下克上の物語は聖地から始まる。

 ▼阪神新人投手のオープン戦巨人戦先発は、05年3月16日(東京ドーム)の能見以来、ドラフト導入後4人。84年池田のみドラフト2位で、他の3投手はいずれも最上位指名。岩崎が先発すれば、ドラフト最下位指名の新人投手としては球団初となる。またオープン戦巨人戦での新人投手の登板は、榎田が11年3月14日(岐阜)に2番手で投げ3イニング無失点に抑えて以来となる。