<東京6大学野球:明大6-3早大>◇第6週3日目◇21日◇神宮

 明大が9回に一挙5点を奪う大逆転で早大の優勝を阻止した。この回、1点差としなおも続く1死一、二塁から「投打二刀流」の岡大海(ひろみ、3年=倉敷商)が3ランを放ってひっくり返した。8回からマウンドに上がっていた岡大は150キロ速球で9回を3者凡退に仕留め、今季初勝利を挙げた。明大は1勝1敗1分けとして優勝の可能性を残した。早大の連勝は7で止まり、優勝決定は今日22日以降に持ち越された。

 公式戦初の一塁に入った岡大がマウンドに走ったのは8回だった。3連投。ここを無失点で切り抜けると続く9回、打席でも実力をみせつけた。139キロのカットボールを捉えた打球が左翼席で弾んだ。「食らいつこう、走者をかえそうと思った。打った瞬間、入ったと思いました」。二刀流だけに、まだ仕事は終わらない。その裏、今度は150キロ速球で3者凡退に仕留めて、V決定を阻止した。

 今春卒業した野村(現広島)から背番号11を譲り受けながら、これまで未勝利だった。早大1回戦は左翼からマウンドに走ったが、1点リードを守れず引き分けた。ただ、最後の打者を二ゴロに打ち取った151キロに今季初めて納得していた。「ボールをしっかりたたけた。思ったボールが行ったんです」。

 早大戦前の練習では内野の守備に入った。三遊間の位置で捕球すると、一塁への送球を繰り返した。左足を踏みだし腰、肩、腕へと力が伝達されることをしっかりと確認した。これで本来の投球フォーム、リズムを取り戻した。「やっぱり投げる方が楽しいです」。本来の投球を思い出すと、この早大戦から5番を任されたバットも爆発する。高校時代に通算30本塁打、昨春の新人戦では満塁本塁打を放って注目された大砲が3年春にリーグ戦1号をかっ飛ばした。

 「最後は力でねじふせようと思った。明日につながりますから」。大海と書いて「ひろみ」と読む。漫画「エースをねらえ!」の女性主人公と同姓同名の?

 二刀流男は、わずかに可能性の残る優勝をあきらめてはいない。【米谷輝昭】

 ◆岡大海(おか・ひろみ)1991年(平3)7月15日生まれ。岡山県出身。倉敷商では2年夏に4番左翼、3年夏に4番投手で甲子園出場。高校通算30本塁打。打者としてプロから注目を浴びたが、投手としてプロ入りを目指し大学進学。185センチ、82キロ。右投げ右打ち。血液型B。