中日和田一浩外野手(38)が24日、名古屋市内の球団事務所で契約交渉を行い、今季から1億2000万円アップの年俸4億円、年俸変動制の3年契約で更改した。優勝の原動力となり、リーグMVPを獲得した活躍に予想を上回る高評価が下された。球団は通算2000本安打達成、現役引退までバックアップする方針。和田は改めて来季の日本一を誓った。(金額は推定)

 優勝の立役者となったMVPスラッガーに対し、球団側の評価は予想を上回っていた。「自分が想像していた以上の数字でした。なかなか、こういう数字は出ないと思います」。約40分間の交渉を終えて、会見場にきた和田は喜びを通り越し、驚きの表情で言った。

 今季年俸2億8000万円から1億2000万円アップの推定年俸4億円。年俸変動制の3年契約と来季39歳を迎える和田にとっては、最高の契約となった。「4億円にも、3年契約にも球団内で異論はなかった。彼は来年もやってくれるでしょう。当然、うちでユニホームを脱いでもらいたいという気持ちです」。今原球団代表補佐はこう説明し、現役引退までバックアップする姿勢を見せた。

 シーズン途中から4番に座り、自己最多の37本塁打、打率3割3分9厘、93打点とキャリア・ハイの成績を残した。3年ぶりのリーグ優勝という要素が加わったことで、球団側も文句なしの大台突破だったという。

 すでに球界最高峰の打者としての地位を確立しているが、これで年俸面での球界トップに立った。契約更改していない選手が多いが、現状で日本人野手では巨人阿部らと並び球界日本人野手トップとなった。球団の日本人野手としても07年福留(現カブス)の3億8500万円を抜いて球団史上最高となった。

 打者として大きな目標も視界にとらえた。あと484本となっている通算2000本安打について、はっきりとこう口にした。「意識していないことはない。ただ、まだ遠い話なので1年、1年(たつごとに)、数字が見えてくるのかな」。和田が本来の実力を発揮すれば、3年の間に名球会入りを決められる。具体的な目標ができたことで、さらに向上をかきたてられそうだ。

 「技術的にやらなければならないことはたくさんある。この時期から体調を整えて来年に備えたい。数字が出せなくなったら終わり。1年、1年が勝負だと思っています」。

 07年オフ、11年間プレーした西武を飛び出し、新天地で勝負した。そこから進化を遂げ、球界最高峰に上り詰めた。球団から提示された最高の評価にまた背筋が伸びた。“驚異のアラフォー”が来季もまた進化した姿を見せてくれそうだ。【鈴木忠平】