東洋大が延長10回、タイブレークの末、粘る青学大を振り切り、1勝1敗とした。

指揮官の勘がさえた。延長10回、無死一、二塁。打席には冨安海来(みらい)外野手(4年=履正社)。バントのサインも、井上大監督(52)は「2球見たら、相手投手との勝負で冨安なら打てそうかな、と思った」と、カウント1-1から打てのサインに変更した。冨安は甘く入った外角真っすぐを捉えると、右翼フェンス直撃の勝ち越し中越え適時二塁打に。ゴールデンウィーク最終日で、スタンドにはたくさんの観客が詰めかけていた。冨安は「打席入る前はなんか背中に圧と声を感じました。ほんまに『ありがとう』って。自分だけの力じゃないと思いました」。たくさんの声援も力にかえた。

開幕から10試合に出場し4割6分3厘と高打率を誇る。昨秋の1割4分3厘からの大きな飛躍だ。冨安はその1番の要因に「メンタル面の成長」をあげた。「今までずっと力が入って、いいパフォーマンスが出せてなかったんです」。どうしたら打席で力が抜けるのかが大きな課題だった。

家族がその背中を後押しした。年末、実家のある大阪に帰省すると「もうラストイヤー。力を抜いてやったらいい」と、声をかけてくれた。「神宮は素晴らしい場所です。でも、力を抜いて、自分のやるべきことをしようと思いました」。誰もが緊張する場面でも、落ち着いてバットを振り結果を出した。

リーグ6連覇中の青学大を1勝1敗と追い詰めた。井上監督は言う。「当然残っているメンバーもいるでしょうが、あくまで青学さんの優勝は去年のメンバー。今年のメンバーじゃない。何か引けを取るわけでもない。6連覇してる青学と戦うのか。今年の青学と戦うのか。それだけの話しですよ」。強いメンタルで、堂々と戦った。冨安は「明日も頑張って打ちます。でも力入りすぎないように」と笑みを浮かべる。その姿は頼もしかった。