阪神ルーキーも侍斬りに大活躍だ。途中出場したドラフト5位糸原健斗内野手(24=JX-ENEOS)が、8回に秋吉からダメ押しの適時二塁打。二遊間も無難にこなす堅実守備で、開幕二塁スタメンへ猛アピールした。

 二塁上で糸原は、涼しい表情を浮かべていた。与えられたチャンスはたった1度だった。8回2死一塁。7回の守備から途中出場していた背番号33は、侍ジャパンの守護神候補、秋吉の125キロスライダーを振り抜いた。右中間に飛んだライナー性の打球は俊足の中堅秋山の横をすり抜け、フェンスまで到達。新人離れした勝負強さで、わずか1打席をものにしてみせた。

 「途中から出ましたけど、しっかり集中が保てました。(カウント)2-1でしたけど、しっかり甘い球を積極的に行こうと思っていた。いい結果が出て良かったです」

 日本中の野球ファンが注目する、侍ジャパンとの一戦で放った強烈打。糸原の名前を全国に印象付けただけでなく、現在空白となっている正二塁手争いでもアピールに成功だ。金本監督が「実戦向き」と評していたように、春季キャンプからここまでゲームに出場するたびに生き生きしたプレーを見せ続けている。

 糸原と二塁を争うことになる選手たちと比べても、その輝きは抜きんでている。この日二塁で先発出場した上本は2打数無安打。さらに大和は2軍調整中と後れを取っており、西岡も左アキレス腱(けん)断裂からの復帰を目指してリハビリを続けている状況だ。実力者たちがそろって足踏みをしている中でのルーキーがみせる連日の活躍。レギュラー争いのポールポジションに立たんばかりの勢いだ。

 この日は二塁の守備で2度の守備機会を無難にこなした。さらに二塁の後には遊撃守備にも就き、ユーティリティー性も発揮した。チーム内での存在感は増していく一方だ。31日マツダスタジアムでの開幕広島戦。電光掲示板に「セカンド糸原」の文字が刻まれているかもしれない。【梶本長之】

<キャンプからの糸原>

 ◆緊張の船出 2月1日キャンプ初日を終え「声を出すのに必死でした。雰囲気に慣れていきたい」。

 ◆二塁打デビュー プロ入り初実戦の8日紅白戦に、「5番二塁」で先発出場。左翼フェンス直撃の二塁打のほか、重盗など足もアピール。

 ◆初マルチ 11日の紅白戦に2番遊撃で出場。プロ初タイムリーを含む2安打1盗塁で存在感を示した。

 ◆内野どこでもOK 19日の日本ハム戦で、初の実戦三塁。8回に横尾の鋭い打球を好捕し、併殺を完成させた。二遊間に加え、内野がどこでも守れるユーティリテーぶりを発揮。

 ◆2点タイムリー オープン戦初戦、25日の日本ハム戦で、4回1死満塁でメンドーサから2点打を放った。2回の守備では遊撃北條と交錯も「お見合いだけはしたくなかった」と闘志をむき出しのファイター。