ボクシングのWBC世界フライ級王者亀田興毅(23=亀田)が、前王者の内藤大助(35=宮田)を判定で破った試合を放送した11月29日の「プロボクシングWBC世界フライ級タイトルマッチ」(TBS系)の平均視聴率が、関東地区、関西地区ともに43・1%だったことが11月30日、ビデオリサーチの調べで分かった。同社によると今年放送された全番組中、最高視聴率で、プロボクシング中継では歴代2位。大みそかのNHK紅白歌合戦を残すが、視聴率の集計を始めた1977年以降、初めてボクシング中継が年間最高視聴率となる可能性が出てきた。

 内藤と興毅の「因縁」の対決は、日曜日のゴールデンタイムということもあって、全国の視聴者をテレビの前にくぎ付けにした。ビデオリサーチによると、平均視聴率は関東地区、関西地区ともに43・1%を記録し、内藤の出身地・北海道の札幌地区では50・6%をマークした。ボクシング中継では、WBA世界ライトフライ級王者の具志堅用高が5度目の防衛に成功した78年5月のリオス戦の視聴率にあと0・1%と迫る、史上2位の高さだった。

 瞬間最高は、関東地区では6回終盤に内藤が亀田を左フックでとらえた場面と、7回終了時に亀田の反撃をVTRで流した場面で、いずれも51・2%。関西では興毅の判定結果のアナウンス直後で52・2%だった。TBSの片山譲治チーフプロデューサー(38)は「予想以上ですね。2人の今までの物語が完結した試合とはいえ、本当にすごいと思う」と興奮気味。興行を主催した宮田ジムの宮田博行会長(43)も「興毅君と内藤の2人の手柄じゃないか」と、激闘を演じた両雄をたたえた。

 平均視聴率43・1%は、NHKと民放を通じて今年放送された全番組でトップ。ボクシング中継が史上初めて年間最高視聴率となる可能性も出てきた。大みそかのNHK紅白歌合戦の昨年は関東地区42・1%(第2部)。ここ5年間の数字を見ても内藤-興毅戦が紅白を上回っており、因縁の対決が「紅白超え」を果たすこともあり得そうだ。

 歴史的視聴率をはじき出した一戦から一夜明け、新王者の興毅は都内のTBSで会見を行った。高視聴率には「内藤選手も王者になって5度防衛してビッグネームになっていたし、お互いのアレ(力)で出たから」と、相手が内藤だからこその結果と強調。94年12月のWBC世界バンタム級統一王座決定戦の薬師寺保栄-辰吉丈一郎戦の39・4%(関東地区)を上回ったが「超えたとは思っていない。まだまだ勉強やね」と表情を引き締めた。

 ただ、今年のワールドベースボールクラシック(WBC)の平均視聴率の最高40・1%(第2ラウンド順位決定戦の日本-韓国戦、関東地区)を超えたと聞いた時は喜びをあらわにした。興毅の初の世界戦となった06年8月のランダエタ戦は42・4%(関東地区)で、同年3月のWBC決勝キューバ戦の43・4%を超えられなかった。「前(06年)に『次は(WBCに)勝つぞ』って言ってたと思う。今回は勝ってん。それがちょっとうれしい」と、腫れた左目も気にせず笑顔を見せていた。【浜本卓也】