国内復帰の道が閉ざされた元WBC世界バンタム級王者・辰吉丈一郎(38)が「無報酬」の再起戦に臨む。8日、タイで5年ぶりの試合を行う計画を明かした。今月26日が有力で、ノンタイトル10回戦(相手は未定)となる見込みだ。ファイトマネーもない可能性が高いが「試合せんことには突破口を見いだせんから」と話した。

 辰吉は03年9月26日のアビラ(メキシコ)戦から5年が経過し、国内ライセンスが失効。昨年4月の合宿経験があり、ライセンスが不要なことから、復帰の場所にタイを選んだ。左目は3度の手術歴がある。体の切れも全盛期にはほど遠く、近年はスパーリングすら満足に行っていない。しかも“無報酬”になる可能性が高い。義兄で後見人の徳丸俊逸さんは「こっちは試合をさせてくれとお願いする立場。ファイトマネーは期待していない」という。

 所属の大阪帝拳ジムは健康上の問題を理由に既に引退勧告している。今回の再起戦についても吉井寛会長は「認められない」とこれまで通りの立場を貫き、協力には否定的。それでも辰吉は「大阪帝拳の名前をつけてリングに上がりたい」との希望を示している。

 交渉がまとまれば試合1週間前には日本をたつ予定。契約体重はこれまでのバンタム級(53・5キロ)程度になる見込みだ。