<プロボクシング:WBA世界ミニマム級王座統一戦12回戦>◇11日◇大阪・ボディメーカーコロシアム

 WBA世界ミニマム級王者の宮崎亮(25=井岡)が、血まみれの王座統一を果たした。同級1位の暫定王者ヘスス・シルベストレ(23=メキシコ)に対し、偶然のバッティングで両目まぶた、目尻から流血。それでも手数を出し、どつき合いに耐え、2-0の僅差判定勝ちに持ち込んだ。減量苦覚悟で対戦志願した強敵を倒し、ミニマム級は“卒業”だ。次はライトフライ級に舞台を移し“浪速の番長”が2階級制覇を目指す。宮崎の戦績は20勝(11KO)3分けとなった。

 肩車され、頭に血止めにタオルを巻いた王者がいた。世界戦3度目のマイクパフォーマンスだが、宮崎は申し訳なさそうだった。

 「僕、ださかったですか?

 次かっこええ試合します。練習も頑張ります。応援お願いします!」。念願の王座統一を果たしたが、KOを逃し、2-0判定勝ち。ファンに頭を下げた。

 壮絶だった。シルベストレの細かいパンチを浴び、腫れた両目。偶然のバッティングで2回に左上まぶたを、10回に右上まぶたから目尻を切った。中盤以降は完全に視界を失った。パンチを食った。セコンドの「見えんのやったら、足使って、見えんなりにやれ!」との豪快な指示に応えた。血まみれの顔で舌を出し、相手を誘い、パンチを合わせた。最終ラウンドはノーガードのどつき合い。「ギリ勝ったかなと…。けんかは負けたないんで。ボクシングというけんかなんで。もう根性だけでした」と“浪速の番長”は胸を張った。

 5月のV1戦後にライトフライ級に戻すはずが、暫定王者の存在が気に入らず、井岡一法会長に「やらせてください」とお願いした。最大61キロになった体をリミットの47・6キロまで、13・4キロも落とした。にんにく2個、らっきょう、梅干しでしのいだ日もあった。

 ミニマム級を卒業する。「もう正直悔いはないです。次は複数階級(制覇)。一翔のいるライトフライ級を狙いたい」。次戦は大みそかが有力。最も欲しいのはWBCの緑のベルト。ムハマド・アリらの顔写真付きのベルト。現在のWBC世界ライトフライ級王者アドリアン・エルナンデス(27)をターゲットにすえて、次は最高のパフォーマンスを見せる。【加藤裕一】

 ◆宮崎亮(みやざき・りょう)1988年(昭63)8月20日、大阪・堺市生まれ。15歳で井岡ジムに入門。大阪・興国高2年時にインターハイのフライ級で優勝。06年12月プロデビュー。12年12月に世界初挑戦でWBA世界ミニマム級王座獲得。身長155センチ、リーチ158センチの右ボクサーファイター。