日本ボクシングコミッション(JBC)が亀田3兄弟の父史郎氏(45)に「最後通告」を突きつけた。史郎氏が25日の3大世界前哨戦で禁止されていた控室に入室した件で、JBCは29日、都内で東日本ボクシング協会の北沢事務局長同席のもと、亀田ジムの吉井会長、嶋マネジャーから事情聴取。JBC、東日本協会ともに口頭で厳重注意をしたが、JBCの安河内剛事務局長(49)は「次はもうない」と、9月25日のWBA世界フライ級王座戦亀田大毅(21=亀田)-坂田健史(30=協栄)戦で再び史郎氏がルールを破れば、ジム消滅も辞さない考えを示した。

 新生亀田ジムが新たな船出の興行で失った信用は、想像以上に大きかった。約1時間の事情聴取後、安河内事務局長は再発がないとの確信を得たか聞かれ「まだ得られてない」と断言。「またあったら相応の問題になる。(会長らのライセンス取り消し処分検討の話も)そりゃ出てくるでしょう」と、9月の大毅-坂田戦で史郎氏が禁を破れば、亀田ジムが消滅するほど重い処分が出る可能性も示唆。事情聴取を終えた吉井会長は「2度とないようにしないとジム存続にかかわりますので」とうつむいた。

 事情聴取では、史郎氏が試合後だけでなく、試合前にも控室に入室していたことが新たに報告された。後援会の人物に選手を紹介するつもりで吉井会長も一緒だったという。また、史郎氏の「今後、控室には入室しません」との“誓い”も伝えられた。近日中に提出される報告書をJBC倫理委員会に上げて処分が必要か検討される。安河内事務局長は「(亀田ジムに)認識の甘さがあったと思う。大いに反省して次に生かしてもらえれば」とこの日は口頭での厳重注意にとどめた。

 そのうえで、9月の大毅-坂田の世界戦での具体的な再発防止策を求めた。安河内事務局長は「こういうことが起こると試合の焦点がぼけると心配していた。だったらしっかりやりましょうと。スタッフ増員とかを含め検討してほしい。僕らも腹をくくって、心して当たりたい」と場外戦で注目される状況の回避に、並々ならぬ意欲を見せた。

 東日本協会は8月23日の理事会で吉井、嶋の両者から事情聴取を予定。そのためこの日は口頭での厳重注意にとどめた。だが北沢事務局長は「協会も、同じ過ちを起こせば何らかの処分は免れない」と厳しい表情で語った。

 ジム消滅の危機を乗り越えて6月に吉井新体制で再出発し、その最初の国内戦でまたリング外で騒動が起きた。「次は厳重注意ってわけにはいかない。次はもうないんだよ、と」と安河内事務局長は、はっきりラストを宣告した。