大関とりに挑む関脇高安(27=田子ノ浦)は西前頭4枚目の宝富士(30=伊勢ケ浜)をからくも上手投げで下して、昇進目安となる直近3場所33勝をクリアした。

 これまでのかち上げから一転、もろ手突きで立った。「重い力士。踏み込ませたくなかった。踏み込む前に止めたかった」。上体を起こしたが、そこからは狙い通りにいかなかった。突き放す意識とは裏腹に「反射的にまわしを取りに行ってしまった」。組んで宝富士を呼び込んでしまった。

 それでも、攻めの意識が前面に出ているのが今場所の高安。休まず構わず、上手で振って、強引にねじ伏せた。「内容的には良くない。危ない相撲でした」と反省したものの、3場所連続の2桁に届かせた。

 周囲からは大関とりの声が飛ぶ。だが、高安自身の意識は優勝争いにしかない。13日目は1敗の横綱日馬富士に挑む。「今日は今日で終わり。残り3日はすごく大事になってくる。しっかりついていきたい。明日は自分のこれからの相撲人生で、大事な一番だと思います」。その先に、大関昇進が待っている。