たかみなにとって、最後のじゃんけん大会が終わった。12月でAKB48を卒業する48グループ総監督高橋みなみ(24)は、2回戦でAKB48佐藤妃星に敗れ、早々に姿を消した。

 つかみは完璧だった。T・M・Revolution西川貴教をほうふつとさせる、黒革のボディコン衣装に身を包み、扇風機で逆風を吹かせる演出で登場した。2回戦からは、西川本人が登場。強力な援軍を従えて必勝を期したが、あっさり敗れて「1回戦に命をかけすぎた」と肩を落とした。

 敗れても、ただの傍観者で終わらないところが、高橋の人間性だった。予想外の快進撃を続ける藤田奈那の不安な表情を察知すると、ひな壇から立ち上がり、手をたたいて激励の声を上げた。6度のあいこの末に藤田が勝つと、「『(会場のファンは)パーを出せ』と思ってたの。でも、そうするとヒール(悪役)になってしまう。会場のみなさんは、中西と2人に勝って欲しかったんだよ。それでも勝利をつかみに行く。素晴らしいことだよ。じゃんけん大会、久々に震えたな」と興奮を隠さなかった。

 過去7回の総選挙も、6回のじゃんけんも、高橋は頂点に届かなかった。だが、そんなことは、10年間グループとともに乗り越えた苦難からすれば、ほんの小さなことだ。優勝トロフィーを手にした藤田を見て、高橋は言った。「チャンスの順番が回ってきたっ。ダンスもうまいよぉ!」。まるで営業マンのように藤田をPRして、最後のお祭りステージを降りた。【森本隆】