役所広司、妻夫木聡、土屋アンナらベテラン、個性派俳優が出演した映画「パコと魔法の絵本」(中島哲也監督)が13日、初日を迎えた。大物、ベテラン、個性派俳優が顔をそろえた作品で、堂々デビューしたのが少女パコを演じた11歳のアヤカ・ウィルソン。この日、東京の有楽座で行った舞台あいさつでも「人間には支えてくれる誰かがきっといるはず」と大人顔負けのコメントで、共演者や観客を驚かせた。

 作品でも舞台あいさつでも主演としての役割を果たした。ピンクのワンピースを着たアヤカが登場すると、観客から「かわいい~」の声が上がる。400人を前に緊張した様子もなく「皆さん、いっぱい泣いていっぱい笑って、楽しんでくれましたか?」と呼び掛け、拍手を受けた。

 1日しか記憶が持たない少女パコを描いた物語にちなみ、忘れられない思い出は?

 と司会者に聞かれると「全部が忘れられない思い出なんですが、すばらしい映画を作るために、監督がずーっとスタッフを怒鳴っていたことが忘れられません」。これには中島監督も苦笑いだった。

 カナダ人の父と日本人の母を持ち、天使の笑顔とも言われている。初めての演技で、映画デビューした。中島監督も「この映画を何倍もおもしろくしてくれた」と絶賛した。8月以降、全国をキャンペーンで回ってきたが、アヤカの大人びた発言は注目されてきた。笑わせたり、ちょっぴり毒舌を交ぜたり、ツボを押さえたコメントをするあたりは、大物の予感がする。

 この日もきっちり締め、ちゃっかり宣伝もした。「大貫(役名)はクソジジイだけど、あっ、役所さんのことじゃなくて作品の中の話ですよ。大貫は、パコちゃんに出会って優しい人になりましたよね。人間には支えてくれる誰かがきっといるんです。そんな気持ちになれる映画です。皆さん、宣伝お願いします!」。

 アヤカのかわいさにも押され、興収20億円が見込まれる好スタートを切った。ほかに国村隼、阿部サダヲ、加瀬亮、劇団ひとり、小池栄子、山内圭哉らが出席した。