<日刊スポーツ映画大賞授賞式>◇28日◇ホテルニューオータニ

 第21回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催・石原裕次郎記念館協賛)の授賞式が28日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで行われた。SMAP中居正広(36)が「私は貝になりたい」で主演男優賞を受賞し、同作品はこの日発表されたファン大賞も獲得した。前年の主演男優賞受賞者の木村拓哉(36)から表彰盾を贈られたが、意外にもSMAP以外の活動でのツーショットは初めて。中居は「昨年、今年とSMAPで取れてうれしい」とグループの活躍を素直に喜んだ。

 登壇した中居はきょとんとした表情だった。「大きな賞をもらうのは、10年以上前の(テレビ番組)『ごきげんよう大賞』以来かな。今回受賞者や授与者、作品を見て、賞を授与されることの大きさと自分の小ささを感じました。紅白もそうだけど、大きい舞台になればなるほど事の大きさと自分の小ささを感じるんです」。だが、前年受賞者の木村が壇上に現れると硬い表情は一変。照れが入ったとはいえ、笑顔が戻った。

 2人は同い年で高校の同級生。「指でツンツンと木村くんをつついて、テストの解答をそっと見せてもらいました」。同時期にバスケットボール部に所属したことも。木村との思い出について、一緒に映画観賞したこともあげた。「デビュー後『ゴースト』を見に行って、ボクが寝ちゃって。木村くんにズバリ『寝てただろ』って言われて、『寝てないよ』って言い返したこともありましたね」。

 今は「話しても一言二言。メンバー同士で『お疲れさまでした!』って、今さらわざわざあいさつし合う仲でもないですから」。素っ気ない態度も、すべてを知り尽くした仲だからこそ。今年はSMAP結成から20年。SMAPとしての仕事以外で、木村とのツーショットは初めてだという。「こっぱずかしいです。一役者としての木村拓哉さん、という感覚もありつつ、メンバーの木村ちゃん、みたいな気持ちもあって、違和感がありました。でも昨年、今年とSMAPが取れたのはうれしいですね」。連続受賞をグループの活躍として喜んだ。

 SMAP結成当初の個人活動は、中居がバラエティー中心、木村が俳優中心のイメージが強かった。木村は中居の本作における徹底的な役作りを最も近くで見てきた1人。完成版も観賞した。SMAP連覇を「不思議な気持ちですが、メンバーが演技を評価されて受賞するのはうれしい。刺激にもなります。撮影中やせこけて必死にやってきたボロボロ感が伝わってきました。作品に対して責任をちゃんと果たした結果です。俳優をもっとやった方がいい」。壇上で中居と交わした握手には、エールと尊敬の念が込められていた。

 本作は11月に約330館で公開され、1カ月が経過した。観客動員数は150万人を突破。館数もほぼ変わらず、客足は衰えない。来年1月末までの公開延長も決定。「1月に入ったら暇になるので、またキャンペーンをやりますよ」。

 撮影から半年。役作りで丸刈りにした中居の髪もいつの間にか伸びていた。ビジュアルは「私は貝-」から離れたが、木村も評価した責任感から、公開終了まで主演俳優の役目を果たすつもりだ。【近藤由美子】