高畑充希(24)主演の朝ドラ「とと姉ちゃん」の勢いが止まらない。初回4日放送で22・6%の高視聴率をマークし、その後も記録を更新。27日放送で24・6%の自己最高を記録した。

 13年の朝ドラ「ごちそうさん」で杏の義妹役で注目を集め、14年にバラエティー番組の初レギュラー、初CM出演、「軍師官兵衛」で初の大河ドラマ出演を果たし、朝ドラのヒロインまで手にした。しかし、高畑にも雌伏の時期があった。

 舞台女優を目指し、13歳の時に「山口百恵トリビュートミュージカル プレイバックPart2屋上の天使」のオーディションで9621人の応募から主役の座を得てデビュー。07年から12年まで「ピーターパン」に主演したが、10代の若手女優が次々と登場して話題を呼ぶ中、実力はありながら地味な存在だった。しかし、朝ドラ出演が、高畑のブレークを呼び込んだ。15年には蜷川幸雄演出の舞台「青い種子は太陽のなかにある」に出演。演技力と歌声で高い評価を受け、読売演劇賞で若手を対象にした杉村春子賞を受賞した。

 贈賞式で高畑は「小さいころから舞台が大好きで、どうしても立ちたくて、13歳の時に立つ機会をいただき、舞台女優になることができました。そこから10年間がむしゃらに前だけ見てここまで来た。ずっと舞台に片思いしていた感じだったんですけど、この賞をいただけて少しだけこっちを振り向いてくれたなと思います」と素直に喜んだ。

 実力がありながら、ブレークしなかった高畑に、若き日の故森光子さんが重なった。主役が回ってこない時、森さんは「あいつより うまいはずだが なぜ売れぬ」という川柳を作ったが、「放浪記」に出会い、国民栄誉賞まで受賞した。高畑の演技、たたずまいに、森さんに通じるものを感じる。いつの日か、高畑の代表作となる舞台を楽しみにしている。【林尚之】