落語家桂歌丸さん(79)が腸閉塞(へいそく)のため入院しました。入院を発表する前日の27日には東京・新橋演舞場で芸歴65周年記念落語会を行い、元気な姿を見たばかりなので驚きました。

 関係者によると、7月に入ってから固形物が食べられなくなり、そのため19日から入院して点滴を10数時間受けて、体調も回復しましたが、一時は40キロ前後に増えた体重も35キロほどに減っているそうです。26日に一時退院して、27日は自宅から演舞場入り。念願だったせり上がりで登場して口上を述べ、座談では「笑点」メンバーの三遊亭小遊三、三遊亭円楽を相手に「まだやりたい落語はいっぱいあるから、死ねません。死ぬ時は円楽さんを道連れにします」と笑わせるなど、元気いっぱいでした。

 立川志の輔、笑福亭鶴瓶、小遊三、円楽と続いて、トリで登場した歌丸さんは名人左甚五郎を主人公にした十八番の「竹の水仙」を50分近くたっぷりと演じました。「蛙茶番」を演じた小遊三は肝心のくだりを飛ばすハプニングがありましたが、歌丸さんはよどむこともなく、丁寧に演じて、大きな拍手を浴びました。ただ、終演後、話を聞きたいと関係者に頼んだところ、「高座を下りたら、話を聞ける状態じゃない」と断られましたが、そのまま病院に直行したようです。

 歌丸さんはここ数年、腸閉塞などで入退院を繰り返していますが、固形物が食べにくい状態が続いていて、栄養剤などを飲んで、体力維持に努めていました。今回も点滴などで体力回復を図り、毎年の恒例となっている国立演芸場8月中席の高座から復帰の予定です。演舞場の座談でも「三遊亭円朝の『江島屋怪談』をやります。今、稽古をしているところです」と話していました。昨年も7月に入院し、8月中席での復帰を目標に療養しました。今年も円朝ものらしい、すごみのある高座が期待できるはずです。 【林尚之】