俳優愛川欽也(80)が、司会を務めるテレビ東京系バラエティー番組「出没! アド街ック天国」(土曜午後9時)を休養し、そのまま降板する見通しであることが5日、分かった。1995年(平7)4月の開始時から番組を仕切ってきたが、7日放送の1000回が最後の出演になりそうだ。

 土曜夜のお茶の間から、愛川が姿を消す。関係者によると、愛川は20年続けた番組の1000回をもって、出演に区切りをつけることを番組側に伝えていた。健康面に問題はないが、高齢の80歳。周囲には「これからは好きなことをやっていきたい」と話しており、都内に所有する小劇場キンケロ・シアターでの舞台制作などに力を入れていく意向のようだ。同局は慰留したが、決意は固かった。結果、表向きは「休養」となるようだが、事実上の自主降板になる。

 現実に1001回(14日放送)の収録は、レギュラーパネラーの峰竜太(63)が司会を代行している。関係者によると、峰は4月中旬までの暫定的な司会者で、以降に新司会者が決まりそうだ。

 番組は95年4月スタート。愛川は「宣伝本部長」の肩書で司会を務めてきた。第1回から出演しているのは、愛川と峰だけ。愛川のあいさつ「おまっと(お待ちどお)さんでした!」で始まるのが、お決まりだった。20年間、収録を1度も休まなかったが、1000回目は、風邪を押しての出演だったという。

 昨年9月には、情報番組の現役最高齢司会者として、ギネス世界記録に認定され「普通なら60歳を過ぎたら引退するところ、その先20年続けていますから。自分に『お前、よくやったじゃないか』と言いたい」と話していた。番組収録は隔週に1回。一方で「時間を取って長い旅行にも行きたい」と漏らすこともあったという。

 日本テレビ系「11PM」は74年から約12年、フジテレビ系「なるほど! ザ・ワールド」は81年から約15年…テレビ長寿番組を築いてきた80歳が、「アド街ック天国」での20年、1000回を区切りに「名司会」の羽を休める。