内田有紀が来月16日に40歳になる。16歳でデビューして23年。女優として充実期を迎えており、日本テレビ系連続ドラマ「偽装の夫婦」(今日7日スタート、水曜午後10時)にシングルマザー役で出演する。アイドルから女優へと飛躍を遂げた今、現在活躍中のアイドルたちにとって指針になるような考えも出てきた。

 DHC化粧品のCMで見せる透き通るような肌と、くっきりとした目鼻立ちは20代のころと変わらない。「デビュー当時は、こんな長く続けると思わなくて、目の前の仕事にただ必死な毎日でした」。93年のドラマ「ひとつ屋根の下」で女優として注目され、翌94年にはデビュー曲がオリコン初登場1位となり、歌手としても人気を得るトップアイドルだった。「とにかく一生懸命やってたことだけで、他の思い出が浮かんでこないです」。

 私生活では20代後半で結婚と離婚を経験した。30代に入ってから新たな女優人生が始まった。「舞台などで訓練することで、自分の感情をコントロールすることに磨きがかけられ、体が感じることを素直に表現することが感性なんだと知りました。お芝居が楽しくて仕方なくなりました」。33歳の時、鎌倉時代の遊女を演じた映画「禅ZEN」が高評価を得るなど手応えある仕事を重ねていく年月になった。「役者は役をもらえなければ意味がない。だから毎回、次につながる結果を残す。それ一心。若い時は、きれいでかわいくいるのが仕事で、いざ実力を出してごらんと言われたら出せなかった」。

 芸能界で活躍中のアイドルたちを見て思うこともある。「昔も今も悩みは一緒だと思います。自信がなくて頑張る姿、成長する姿が私は好きだし、そのままでいいと思う。アイドルは『かわいいお人形さんだけど中身ないんでしょ』なんて言われる。だから何かを見つけなきゃと必死になり、それが痛々しく見える時期もある。悩みが顔に出る時期もありました。やがて応援の声が聞こえなくなってくる。アイドルが年を重ねるということは難しいことだけど、必要とされることで、また輝ける。まずは誰かに必要とされる人間になることを目指すようになれば、全てはつながると思います」。加賀まりこ、天海祐希、小泉今日子らに教えられたことだという。

 私生活も演技のヒントを探す場という。スーパーや電車、居酒屋などで人間観察する。「毎日飽きることなく楽しい。若いころはあれもこれもダメで、悩む自分に酔ってもいた。芸能界では年を重ねることは、自由になり、100%楽しいことなんです。シミやしわなんて気にしても仕方ない。ネガティブ思考はむだ。それが一番の心の元気の源」。一点の曇りもない笑顔で言い切る。いつまでも若々しい理由が分かった。【瀬津真也】

 ◆内田有紀(うちだ・ゆき)1975年(昭50)11月16日、東京都生まれ。92年ドラマ「その時、ハートは盗まれた」で女優デビュー。94年シングル「TENCAを取ろう!-内田の野望-」で歌手デビュー。95年「花より男子」で映画デビュー。02年に結婚、05年に離婚。「時をかける少女」「医龍」「ドクターX~外科医・大門未知子~」などのドラマや映画「踊る大捜査線」シリーズなどに出演。165センチ。血液型O。