俳優、グルメリポーターとして活躍した阿藤快(あとう・かい)さん(本名・公一=こういち)が、東京都新宿区の自宅で大動脈破裂胸腔(きょうくう)内出血で死去していたことが16日、分かった。所属事務所が発表した。69歳の誕生日だった14日ごろ亡くなったとみられる。

 阿藤さんの遺作となり、1日の千秋楽まで出演していた舞台「MOTHER 特攻の母 鳥濱トメ物語」の共演者から、異変を指摘する証言が出た。主演した大林素子(48)は16日、都内で取材に応じ、突然の悲報に「1度、会わないことには信じたくない」と涙を浮かべた。ただ、予兆はあったという。「(舞台の)空き日に病院に行かれていた。『1軒目の病院が良くなかったので2軒目に行ったら、薬がすごい効いたから元気なんだよ』と言って、千秋楽の舞台に立っていた」。舞台の打ち上げも、阿藤さんの日程を優先し先月30日に決めていた。だが当日「疲れちゃったからいいよ。本番をやって帰るわ」と断られたという。「今、思うと具合が悪かったのかな」と、異変に気づけなかったことを悔やんだ。

 タレント日出郎(51)もこの日取材に応じ、9月初めの稽古で会った時から「背中が痛いんだよ」と言っていたことを明かした。10月7日初日の東京公演でも「暗転で舞台上で待機した時も、テーブルに手をついて背中を伸ばしていた」。阿藤さんの背中をマッサージしたが「本当に体がはっていた。痛いところが肩甲骨、腰、腕と毎日違っていた」。多忙で病院に行けなかったといい、ようやく10月29日に病院に行ったものの「薬をもらったけど、効かないんだよね」。翌30日に別の病院に行ったところ「いい薬をもらった。調子がいいんだ」と喜んだという。「信じられません。ただ、(体調のためか)せりふの覚えも悪かった。優しい人で、私のようなオネエタレントでも差別はしなかった」としのんだ。