歌手泰葉(55)が三味線デビューすることが6日、分かった。落語家の初代林家三平さんの次女として生まれ、三味線は6歳から習い始めた。7月に名古屋・大須演芸場の出演も決まり、「父の高座が大好きで、寄席に出るのが夢でした」。7月に自ら社長となって新事務所を設立する。歌の仕事も続けながら、幅広く活動したいという。

 泰葉は6歳から三味線を始めた。シンガー・ソングライターとしてデビューし、春風亭小朝(61)と結婚後も三味線は続けた。小朝が三味線の名手だった大女優山田五十鈴さんと共演した01年の舞台で、山田さんの17分に及ぶ浮世節の名曲「たぬき」を聞いて、「衝撃を受けた。これをやりたい」と思ったという。

 祖父は7代目林家正蔵、父は初代三平、弟は林家正蔵(53)林家三平(45)という落語一家に生まれた泰葉は「父の高座が大好きで、寄席に出るのが夢でした」。三味線で寄席に出る道を模索した。「一門に入って、『林家泰葉』になろうかと思ったけれど、前座修業もせずに名乗るのは失礼と思いました」。

 結局、フリーで行うことを決意。5月に父の記念館「三平堂」で行われた林家たけ平の真打ち昇進披露の会で初高座を務めた。「父のDNAが騒ぎ、最高の時間、最高の空間でした」。7月8日から10日まで名古屋・大須演芸場に出演する。「いよいよ始まるという気持ち」。「たぬき」のほか、「フライディ・チャイナタウン」「男はつらいよ」がレパートリーに入っている。

 7月に自らが社長を務める新事務所「泰葉エンターテインメント」を設立する。母海老名香葉子さん(82)が社長を務める「ねぎし事務所」に所属していたが、「母や弟に甘えてしまうし、これ以上迷惑をかけられない。安心してもらうためにも自立しようと思った。歌も続けながら、幅広く活動したい」。7月23日に東京・吉祥寺でライブを予定している。

 2年前に軽いうつ病と診断された。「つらかったけれど、今は元気です。それも三味線のおかげ。克服には希望を持つこと、規則正しい生活を送ることが大切と言われた。三味線をすることで希望を持ち、毎日の稽古で規則正しく生活できた」。明るく前向きな泰葉が戻ってきた。【林尚之】

<泰葉(やすは)アラカルト>

 ◆生まれ 1961年(昭36)1月17日、東京都生まれ。姉は峰竜太夫人の海老名美どり(63)。

 ◆デビュー 81年にシンガー・ソングライターとして「フライディ・チャイナタウン」でデビュー。87年には日本テレビ系「午後は○○おもいッきりテレビ」の初代アシスタント。

 ◆結婚 87年に春風亭小朝と結婚。芸能活動を休止し、小朝の事務所の社長としてマネジメントを行う。

 ◆離婚 07年に2人そろって離婚会見。芸能活動を再開し、ブログで前夫の小朝を「金髪豚野郎」と呼ぶ過激発言で話題となり、08年にはプロレスに参戦。

 ◆多才 ピアノ、三味線に長唄、日舞、茶道と幅広い。寄席では色物と呼ばれる三味線などの音曲も人気で、次なる泰葉の夢は「寄席でトリをとること」。