薬師丸ひろ子(52)が歌手デビュー35周年記念アルバム「Cinema Songs」を11月23日に発売する。映画音楽カバー集で、洋画から8曲、日本映画から4曲の計12曲を選曲。薬師丸がこのほど取材に応じ、映画音楽への思い入れ、歌の原点などを語った。

 透明感あふれる声は印象が変わらない。声楽の先生についてレッスンを受け、高音もキープし続けている。「気を許すと、どんどん低くなるので意識して。いろいろな声を出せるよう、みなさん訓練してやっていること。女優としては、必要不可欠なことだと思います」とサラリと言った。

 収録曲は自ら選曲した。「個人的な思い入れもありますが、自分が強く印象を受けたものを歌いたいと思いました」。映画音楽にまつわる思い出を挙げた。「『ベン』は初めて友達と見に行った映画でしたが、(主題歌は)衝撃に近かったです。『ディア・ハンター』は高倉健さんがとても好きで、思い入れを伺ったことがあったので、特別な思いで歌ってみたいなと」。

 当初は洋画の曲だけで構成していたが、「聴いてくださる方は日本の方だから」と日本映画の曲も入れた。「『ナースコール』は私が主演して玉置浩二さんが歌っていて、主題歌の効果を感じました。(歌手デビュー曲)『セーラー服と機関銃』は私の思い出以上に、みなさんの思い出が大きいと感じたりします」と選曲理由を説明した。

 00年代は歌手活動をほとんど行っていない。「歌の世界の人たちから、商業的にそんなに必要とされなかったのかもしれないですね」。10年に映画「今度は愛妻家」(行定勲監督)記念イベントとして、20年ぶりにライブを開催した。「聴きに来てくださる方がいてうれしかったと同時に、もう1回歌っていきたいと思いました」。出演したNHK連続テレビ小説「あまちゃん」(13年)の反響の大きさも感じた。「『潮騒のメモリー』は、私が歌ってきた歌の感じとすごく近かった。受け入れてもらえたことは、すごく大きかったですね」。近年は再び歌手活動に取り組んでいる。

 歌の原点は、松任谷由実と60年代からブームを巻き起こしたヒキガエルの人気キャラクター、ケロヨンだ。「楽譜を買ってきて、小学生の時に『ひこうき雲』『翳りゆく部屋』など、ピアノを弾きながら歌っていました。いまだにユーミンはダメです。緊張して、一緒にゴハンを食べても何を食べたか覚えていないです。ケロヨンはレコード(『ケロヨンのうた』)を買ってもらって。『(歌詞の一部)たのしいときもケロヨン さびしいときもケロヨン~』は、自分の人生のテーマ曲みたいに思っています」と振り返った。

 11月から歌手活動35周年記念イヤーに入る。「昔の歌でも新しい歌でも、楽しみにしてくださる方がいるなら、歌っていきたいですね」。歌手業にもさらに力を入れる1年になる。【近藤由美子、相原斎】

 ◆薬師丸ひろ子(やくしまる・ひろこ)本名・博子。 1964年(昭39)6月9日、東京都生まれ。78年角川映画「野性の証明」のヒロインに抜てきされ、81年「セーラー服と機関銃」「ねらわれた学園」が大ヒット。NHK紅白歌合戦には13年「あまちゃん」の企画コーナーに出演。翌14年に初出場し「Woman “Wの悲劇”より」を歌唱。154センチ。血液型A。