「京都国際映画祭2016」が13日開幕し、元離宮二条城で行われた式典で、今年の牧野省三賞を受賞した映画監督の篠田正浩氏(85)への授与式が行われ、俳優長塚京三(71)が祝福に駆けつけた。

 同賞は「日本映画の父」と呼ばれる牧野省三氏の功績をしのび設けられ、14年からは「京都国際映画祭」の中で発表、授与式を行ってきた。プレゼンテーターは牧野氏の孫、津川雅彦(76)が務めており、津川は「牧野省三賞は(通算で)48回目になりますが、映画を愛し、生涯を映画にささげるような方に贈ってきました」とし、今年の受章者、篠田氏を紹介。

 篠田氏は「私の映画人生で、最初の賞が京都市民映画祭で、暗殺(64年)でした。おそらくこれが、私の生涯で最後の賞になると思う。最初と最後が京都とは…。こんなに京都に縁があるとは思わなかった」とあいさつした。

 篠田氏は「心中天網島」「はなれ瞽女おりん」「少年時代」「写楽」などで知られ、03年「スパイ・ゾルゲ」を最後に映画監督からは退いている。

 花束を持った長塚を目にすると、篠田氏は満面笑みで出迎えた。

 長塚は、同映画祭でも上映される「瀬戸内ムーンライト・セレナーデ」(97年)に主演していることから、この日駆けつけ「(篠田)監督からは、何よりもまず上機嫌でいることがすべての根源であると教わった」とあいさつ。つらい時期も、悲しいできごとも笑顔で乗り越えるよう教えられた言葉を胸に、俳優人生を歩んできたと明かした。