俳優内藤剛志(61)主演のテレビ朝日系連続ドラマ「警視庁・捜査一課長 シーズン2 ヒラから成り上がった最強の刑事!」(木曜午後8時)が、13日にスタートする。

 12年から2時間ドラマ、昨年4月に連ドラ、そしてシリーズ2作目。ドラマと同じく、脇役から主役へとステップアップしてきた内藤に聞いてみた。

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 90年代は「連ドラの鉄人」と呼ばれた。21クール、28本、5年以上も連ドラに出続けた。勤続疲労が心配だ。

 「全然ないです。普通のお父さんが普通に働くように、僕の場合は仕事ですから、淡々とやってますけどねえ」

 撮影を一気にこなして、しっかりオフを取る役者もいる。

 「そういう方もいらっしゃる。でも、僕の周りではそうじゃない方もいらっしゃる。まあ、どちらの考え方もあると思いますけどね。僕の場合は常にこう、なんですかねえ、身体を動かす事によって、次へ飛べるっていう風に思うんですね。なので、働いてるって事は苦にならないタイプ。例えば、そうですね、藤田まことさんなんかも、そうだったと思うし、これは残念ですが亡くなられた渡瀬(恒彦)さんもそういう風に走ってらっしゃった。そういう先輩を見てたことが多いので、働き続ける事で駄目になっていくとは、僕はあんまり思わなかった。でもそれは考え方ですから、1年に1本やられる方もね、とてもすてきだと思います。でも、僕の場合は、毎週のように面白いものを皆で一緒に作ってっていうのが、なんか生業みたいになってますねえ」

 今度のシーズン2で、田中圭(32)が新たに若手刑事・刑部公平としてレギュラーに加わった。

 「一緒の作品は5回目ですかね。歳は若いんだけども、すっごいパワーのある役者さんなんですよ。常にこう、なんていうかね、良い意味でですよ、ファイティングポーズなんですよ。芝居をする時に。いつも気を抜かないタイプっていうのは、ものすごく好き。だから2人で工夫して、いろいろやってます。僕にとってはありがたい事ですよね。ドラマの中に柱が増えた感じがするんですよ。斉藤由貴(現場資料班主任・平井真琴)さんがいて、金田明夫さんがいて、本田博太郎さん(刑事部長・笹川健志)とか、床島佳子さん(大岩の妻・小春)とか、こう柱が何本かある。まあ、その中で僕は動いているんだよと。また、もう1本、ポンと立ってい。あいつは若いけど力のある役者だから、非常に助かります」

 金田明夫(62)が演じる小山田管理官は、大岩捜査一課長の右腕となって捜査を進めていく。金田とは、公私にわたる付き合いだ。

 「20代からの付き合いなんですよ。30年以上付き合っていて、ですかね、友達って、年は1個上なんで失礼な言い方なんだけども、一緒に来ましたね。人間としても非常に優れていて、なんだろうなぁ、優れたって変な言い方ですけども、素晴らしい人だと僕は思う。大体役者同士って、なかなか難しいんですよ。やっぱりこう、戦う心みたいなのが、やっぱりねたみだったり、嫉妬だったりするんだけども、あの金田明夫ってそういうところが全くない。例えば、僕が良い役を…よかったね! って普通に言える人なんで。彼は、新劇をやってるから、劇団『円』の芝居を見に行って、刺激になる。そういう意味では、あんな人って、あんまりいないんですよね」 

 金田の舞台を見に行くことは、内藤にとって欠かせない。

 「必ず行きますよ。差し入れもって、駆けつけますね。まあ、役通りの人ともいえますよね。誠実な、昭和のお父さんでしょ。こないだの(日本テレビ系連ドラ)『東京タラレバ娘』でもそうだったけど、ああいう人ですよね。僕の中では、珍しい人間関係の1人ですね。まあ、友達と言っていいのかなあ、親友って言っていいのか、何かもう、兄弟みたい。だって、もう、9カ月一緒にいるんですもん、今。1年間。(テレビ朝日系)『科捜研の女』でも6カ月、一緒にいますから。で、また違う作品で一緒になったりするんですよ(笑い)。本当にすごい、こんな人、いないんで」 大福というあだ名で、独特の勘で事件解決のヒントを思いつくのが、現場資料班主任の斉藤由貴(50)。アイドル女優時代からの長い付き合いだ。

 「斉藤由貴ちゃんはいいですね。由貴ちゃんも、昔から、沢山仕事をしています。非常に正確に球を投げられる人。たとえば、ストライクゾーンが9カ所あったら、『次、ここね』と言うと、必ずそこに投げてくる。どこから球を投げてくるのか分からないんだけど、僕はもう、何もしなくていいんですよ。ミットを構えるだけで、必ずそこに来る。だから、必ずストライクに入れてくるっていう、マジックのような人。まあ、こんな風にいって本人は喜ばないかもしれないけど、天才だと思いますよ、ある種の。どういう風にその回路で考えてるか、僕らには分からないんだけど、必ず、やらなきゃいけない事のど真ん中に来るんです。やらなきゃいけないシーンで、一番大事な事を、絶対やる。そういう人ですね。後は今、お母さんとしても素晴らしいんだろうし、一生懸命家事をしながら、この仕事をやってる。そういう意味では本当にすごい人だと思いますね」

 かつてのアイドル女優も、結婚して妻になり、母になった。その上で、女優として成熟の時を迎えている。

 「そうですね。やっぱり、深くなって来てますよね。頭のすごく切れる、感性の鋭い人なんだと思いますね。だからいろんな経験をする事が、彼女にとってはプラスですよね、全てがね。結婚されて、子供がいて、子育てして、どんどんどんどん大きくなって行くでしょ。するとどんどんどんどん、深いっていうか、幅が広がって行く。でも、僕くらいにとってはアイドルなんで、撮影所にいるときは彼女にしくしてもらえれば。だから、金田明夫とばか事ばっかりして喜ばせてます。2人で笑わせようと思って。何か、それが撮影のみんな活力になってますからね。アイドルですよ、やっぱり」

【小谷野俊哉】