12球団随一の熱さで知られる阪神ファンの“生態”が、NHKのドキュメント番組で放送される。

NHK大阪放送局の有吉伸人局長は5日、大阪市中央区の同局内で、定例会見を開き、斬新なドキュメンタリー番組「ストーリーズ のぞき見ドキュメント 100カメ 阪神タイガース・ファン」(16日午後10時50分=総合、全国)を発表した。

「ストーリーズ」は、ドキュメント番組の新たな可能性を切り開こうとスタートしたもので、今回の「のぞき見ドキュメント」は、小型の固定カメラ100台で撮影するもの。

普段使う大きなテレビカメラはなし、撮影クルーもおらず、インタビューもない。常識を覆す手法が、100台カメラによる「のぞき見」だ。もちろん、設置時に許可を得ての撮影。今回、そのターゲットとなったのが阪神ファンだった。

収録日は8月31日、兵庫・甲子園球場での阪神-巨人戦。同日にNHKが試合放送を予定していたための日程だったが、偶然にも、鳥谷敬選手に球団が引退勧告をした日だった。

番組担当の渡辺隆文プロデューサーは「同じ時間を離れた場所で共有する人々を撮りたかった」と言い、甲子園球場内や、大阪府内の居酒屋、タクシー車内など、全12カ所に、了承を得て小型カメラを設置。同試合を選んだ理由には「優勝が決まるとか、特別な瞬間ではない日で、故意にとらわれない、何と言うこともない1日の生活を出したかった」と説明した。

一方で、阪神-巨人戦には「地球上の人が見ている熱戦。反応の広がりを見ていただける」と期待しての敢行だった。

「複数カメラを同時に写したモニターで見ていると、本当にすごかった。まったく違う場所で、まったく知らない人が、阪神が得点すれば同じように立ち上がり、同じように喜んでいて、同じような会話をして。微妙なジャッジにも…」

愛、熱さでは比類なき虎党の大きなリアクションには驚くばかり。鳥谷選手の引退勧告をめぐっては「多様な会話がかわされていた」とも明かした。

この斬新なドキュメント番組に、有吉局長も「ひじょうに新しい発想の番組。チャレンジ精神にあふれ、新しい可能性が広がると感じた」と評価した。