来秋スタートの次々期NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」のヒロインが杏(26)に決まり12日、大阪、東京のNHKでそれぞれ会見を行った。父で俳優の渡辺謙(53)も1986年度(昭61年度)前期の「はね駒」で、ヒロイン斉藤由貴の夫役で連続テレビ小説に出演しており、親子2代で朝の顔となる。

 杏は制作局の大阪放送局での会見を午前に終え、午後に上京。あらためて取材陣を前にして、「光栄であると同時に、責任を感じます」と緊張気味に話した。渡辺には「長丁場になるので、頑張れ」とエールを受けたと明かした。だが、自身でも朝ドラヒロインは予想外だったようだ。「まさか…といった感じですが、大阪へ嫁に来るような感じで、本当に楽しみです」。

 ドラマは大正、昭和の食がテーマ。東京の洋食店の娘に生まれ、大阪の男性に恋をして、東西の食事、文化の違いに戸惑いながらも、夢へ向かう夫を支える妻の一生を描くが、東京出身の杏にとって、問題は関西弁への慣れ。大阪へ嫁いだ後、徐々に関西弁になっていく展開のため、「テレビで共演しているナイナイさん、特に矢部さんの関西弁が独特で面白いので、機会があれば教えてもらいたい」と願った。

 脚本はドラマ「JIN-仁-」などを手掛けた森下佳子氏。オーディションはせず、制作者サイドが杏の仕事ぶり、趣味の歴史に没頭するなど、積極的なライフスタイルにひかれ、出演交渉してヒロインに決まった。岡本幸江チーフプロデューサーも「17~40歳過ぎまでを演じる上で実績を兼ね備えた方にお願いしたかった」。事実、杏は放送中の大河ドラマ「平清盛」では北条政子役。昨年放送の日本テレビ系「妖怪人間ベム」では妖怪も演じており、経験値と実績は十分だ。激動の時代を生きた母を演じることで、杏もテンションを上げている。「明治、大正、昭和を生き抜いた女性が理想なんです。食にもこだわりがあって、朝早くても朝食を作って毎日3食です。(ヒロインは)共通点が多い。大阪に嫁に行くような気持ちで頑張りたいです」。新たな朝ドラヒロイン像が生まれそうだ。