欽ちゃんことタレント萩本欽一(72)が30日、最後の舞台出演を終えた。東京・日本橋浜町の明治座で今月7日から開催されていた軽演劇引退公演「ほめんな

 ほれんな

 とめんな」が千秋楽を迎え、約1400人の観客から「やめないで」と懇願されると「やめるんじゃないよ。卒業だよ」と答え、花道を通って引き揚げた。

 楽屋に戻った欽ちゃんは「寂しい気持ちもあったけど、お客さまに幸せにしていただいた」と振り返った。そして、本番前に、2011年(平23)3月10日に亡くなった故坂上二郎さん(享年76)の遺影に「『飛べません』をやってくるよ」と声を掛けたことを明かした。「二郎さんも最後は『飛びます。飛びます』ができなくなって、『飛べません』って言っていた。僕も、もう飛べなくなった。これからは誰かを動かして、こういう舞台を作っていければね」と言うと、顔を手に近づける“飛びますポーズ”をしてみせた。

 もっとも、ラスト舞台でも、欽ちゃんは欽ちゃんだった。共演の田中美佐子(54)的場浩司(45)と軽快に絡み、小倉久寛(59)をいじり倒して、往年のギャグ「なんで、そ~なるのっ」を繰り出していた。観客の「やめないで」の声については「あそこで『分かった。やめないよ』って言ったらかっこいいんだけどね(笑い)。でも、またやろうとしてできなかったら悔しい。それは悲しみにつながる」と振り返った。

 出演者の打ち上げには不参加。「いろいろ言われると、我慢しきれずに『また、出るよ』って言っちゃうからね」と照れ笑いした。【小谷野俊哉】