もう1度国立へ-。全国高校サッカー選手権は30日、東京・国立競技場で開幕した。2年連続23度目の出場となる県代表の藤枝東は、昨季の決勝以来351日ぶりに国立のピッチに立った。県優勝旗を持って堂々と行進したMF小林勇輝主将(3年)は、全選手でただ1人、同じ国立で戦った昨季の準決勝からここまでの公式戦全24試合を連続フル出場中。チームのダイナモは、今季は決勝しか使われない「聖地」に、再び戻ってくることを誓った。

 2年連続の入場行進で、県優勝旗を誇らしげに掲げ、小林主将は昨年とはひと味違う感慨に浸っていた。「昨年は初めてだったので、すごいなという感じ。今年は(感動より)戻って来られたという思いが強い」。今年1月14日の決勝で号泣した聖地へ、351日ぶりに足を踏み入れた。「国立は本当に特別です」とうれしがった。

 堂々の行進は、重圧に打ち勝った証しだった。全国準優勝の看板を受け継いだ直後のことは、苦しさしか覚えていない。新人戦は2回戦で敗退。直後に服部康雄前監督(52)の異動も決まり「ショックですごく動揺した」。大石和孝監督(51)が就任後も総体、プリンスリーグで勝てず「最弱」とやゆする声も聞こえた。そんな雑音にも主将として、毅然(きぜん)とした態度で耐えてきた。

 今季チームでただ1人、公式戦全22試合をフル出場した。昨季から数えれば24戦連続。県準決勝の静岡学園戦前には、高熱でフラフラだった。それでも「試合はできる」と言い張り、点滴を打って臨んだ。「主将だから休めない。なったからには責任もある」。

 仲間のためにも動いた。出場機会の激減したFW新井成明やMF横山翔太(ともに3年)が落ち込んでいるのを見ると、大石監督に「なぜ使わないのか?」と尋ねに行った。受けた説明をしっかり伝え、励ましながらやる気を取り戻させた。苦しい自分の胸の内は隠し、チームをまとめた努力が、今につながった。

 国立を歩いた。だが、歩いただけで満足はできない。「もう1度来て、初めて…」。今季の国立は1月12日の決勝だけ。その日に向けた戦いが、幕を開けた。【今村健人】

 ◆小林勇輝(こばやし・ゆうき)1991年(平成3年)2月18日、浜松市生まれ。相生小1年からジュビロ浜松ジュニアでサッカーを始め、浜松東部中ではジュビロ浜北(現浜松)所属。U-13、14日本選抜、U-16、18県選抜。好きな選手は藤枝東OBでボルフスブルクMF長谷部誠。好きな言葉は「日々上昇」。家族は両親と祖母。176センチ、70キロ、血液型O。