仙台は5日、MF富田晋伍(29)が今シーズンの主将を務めると発表した。渡辺晋監督(42)の期待に応える形で、昨年に続いての主将就任となった。同監督は富田を「誰より負けず嫌いなサッカー小僧」と評価。その精神的な強さは、低迷から復活を目指すチームをけん引するのに、適任といえる。宮崎・延岡キャンプは2日目、富田主将として、その思いを語った。

 昨年の悔しさを、最も肌で感じている男が、今年もベガルタの中心に立つ。主将就任後、初めて取材に応じた富田は熱く決意を語った。「去年は初めてキャプテンをやらしてもらいましたが、チームの結果も含め、納得できるものではなかった。主将としてやり残したことも感じる。今年こそ、みんなでというか、自分がしっかり引っ張っていかなきゃいけない」。主将の立場を強く自覚しているのが、伝わってきた。

 2季連続主将は11、12年のFW柳沢敦(現鹿島コーチ)以来。2年連続14位と低迷した昨季は渡辺監督からの指名だったが、今回は少し違った。チーム始動前、渡辺監督は富田に直接「『(主将は)オレがやります』というのを待っている」と、まっすぐに思いを伝えた。それを受けた富田は熟考を重ねた末「(今年も)お願いしますと自分で言いました」と、決断した。

 大きな声を出したり、喜怒哀楽を表に出したりするタイプではないが、指揮官理想の主将像に、最も近い存在だろう。1月末の鹿児島キャンプ中に行われた練習試合の様子からも、渡辺監督は、主将としての適性を見極めていた。「立ち居振る舞い、勝利への執念を見せる姿などを見て、私からシンゴに特に要求することはないくらい」と全幅の信頼を寄せている。

 富田は「今年はチームのことも見ながら、自分のパフォーマンスにもこだわっていきたい」と1選手として昨季以上の活躍も誓う。チーム内テーマの1つには「自立」も掲げられている。「チームのみんなが各自でも発信できるよう、その先頭に立っていきたい」とまっすぐ前を見た。【成田光季】