ピッチでプレーできたFWは、たった2人だった…。J1屈指と評判だった川崎FのFW陣が、崩壊の危機に陥った。28日の紅白戦、FWはW杯予選帰りの北朝鮮代表の鄭と、今季リーグ戦で出番のない久木野だけ。控え組はMFが代役を務めるなど、30日の千葉戦(等々力)を前に麻生グラウンドには寂しい空気すら漂った。

 開幕前は、強力FW7人衆を擁し、関塚監督が先発選びうれしい悲鳴を挙げるほどだったが、今や本当の悲鳴を挙げたい状況だ。FW我那覇が左ひざ靱帯(じんたい)損傷で3週間、都倉が右足骨折で3カ月の離脱が決まった中、26日にはフッキが電撃退団。さらに黒津も右ひざを打撲し離脱。ジュニーニョも左太もも裏痛が続き、周囲に「試合は厳しい」と漏らしており、千葉戦への出場は微妙だ。

 しかしその中、1人気を吐いたのが鄭だ。代表との往復で体調を落とし、15日の神戸戦以降は控えが続いたが「チャンスを逃す手はない。棚からぼたもちでラッキー」と大喜び。この日の紅白戦でも豪快にヘッドを決めアピールに成功。公式戦1分け3敗と未勝利の中、鄭は「代表から帰って起爆剤になろうと思ってた。いい舞台が整った」と救世主に名乗りを挙げた。【村上幸将】