<天皇杯:G大阪3-1磐田>◇5回戦◇26日◇ヤマハ

 磐田ハンス・オフト監督(61)が、日本協会犬飼基昭会長(66)にかみついた。磐田はリーグ戦でのJ1残留争いをにらみ、23日の柏戦から先発メンバーを10人入れ替え、主力12人をベンチから外して臨み、1-3でG大阪に敗れた。25日に犬飼会長からこの温存策を批判され、この日猛反発。中2日で戦わざるを得なかった日程にも言及し、逆に協会側の協力不足を訴えた。2人は浦和時代に監督と社長という立場で対立した因縁があり、バトルが再発した形となった。

 普段は紳士的なオフト監督が、鋭く牙をむいた。天皇杯での温存策を、前日に犬飼会長が「外国人監督に丸投げしているクラブの社長が多い」「もう正常な判断ができなくなってきている」などと批判。これを受けて試合前に「社長が私に丸投げしているとは思わない。そういったことを考えるなら、リーグ戦が全部終わってからにしてほしい」と、猛反発した。

 磐田はリーグ柏戦から中2日での試合だった。G大阪が出場したアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)との兼ね合いで、変則的な日程。逆転負けを喫した試合後、同監督は「(日程について)協力、結束をしないといけないポジションの人がいる」と、暗に日程を決めている協会側の配慮不足を指摘した。

 両者の間には以前から溝があった。02、03年は浦和の監督と社長という間柄。03年限りでオフト監督は退任したが、これは「犬飼社長」が首を切った事実上の解任だった。それに反発するように、同監督は03年ナビスコ杯の優勝会見で突然辞意を表明。前代未聞の行動は、両者の意思疎通の欠如と対立を浮き彫りにした。オフト監督はこの日、因縁の相手に「人は鏡を見ないといけない。誰かを批判する前に、自分のことを見つめないといけない。個人的批判とも取りかねない」とも言い放った。

 あくまでも使命であるJ1残留のために、温存策を最善策と考えた結果。「私はいいかげんに仕事をして帰る外国人とは違う。残留のため」と同監督。たとえ悪者にされようと、盾になって戦うつもりだ。【栗田成芳】