<ナビスコ杯:大分1-1浦和>◇20日◇予選リーグA組◇九石ド

 浦和が「若きホットライン」で2年ぶりの決勝トーナメント進出へ望みをつないだ。闘莉王と山田暢の主力を故障と体調不良で欠く苦しい展開。1点を追う前半41分、プロ4年目で公式戦初先発の21歳MF西沢代志也のラストパスを、ルーキーMF山田直輝(18)が右足で蹴り込み、辛くも1-1の引き分けに持ち込んだ。

 物おじしない「若い感性」が、通じ合った。味方のパスミスで先制点を奪われ、重苦しい雰囲気が漂っていた前半41分。右サイドバックから攻め上がった西沢は、18歳FW原口からパスを受けると「ファーサイドのナオキ(山田直)と目が合った。なんとなく、うまくいけそうな気がした」と感じた。誰もいない、相手DF裏のスペースへパスを出すと、駆け込んだ山田直の足元にピタリ。ダイレクトシュートが、同点のゴールネットを揺らした。

 体調不良で欠場したMF山田暢に代わり、プロ4年目で初めてつかんだ公式戦初先発のチャンス。西沢は「(先発は)初めての感覚になる。思い切りやりたい」と燃えていた。脚力と攻撃センスを評価される好素材も、これまではカップ戦4試合での途中出場のみと実績を残せなかったが、フィンケ監督の連動サッカーで実力を発揮し始めた。

 童顔と人なつっこい性格でチームメートから愛される。試合前日にスタメンが確定すると「ヨシヤがついに先発だ」と田中達ら先輩も喜びの声を上げた。原口、山田直らユース時代からの後輩に「先発デビュー」は先を越されたが、プロ初先発でフル出場。「また、頑張ってやるだけです」と闘志を新たにしていた。【山下健二郎】