<天皇杯:名古屋1(5PK4)1新潟>◇4回戦◇17日◇瑞穂陸

 リーグ初優勝に王手をかけている名古屋がレギュラーゼロで、今季3戦未勝利だった新潟に競り勝った。第2GK高木義成(31)の踏ん張りで1-1のままPK戦に持ち込み、5-4で勝利し8強入り。リーグVの可能性がある20日の湘南戦(平塚)へ主力を温存したが、今季の勢いを示すかのような白星を手に入れた。

 これがリーグ制覇に王手をかけている首位の勢いか。名古屋がレギュラーゼロで、新潟に競り勝った。守護神の楢崎に代わって先発したGK高木が33本ものシュートを浴びながら再三の好セーブをみせ、劣勢の展開をしのいだ。

 120分では決着がつかず勝負はPK戦へ。するとベンチ脇には温存された楢崎、増川、ダニルソンら看板選手がチームスーツ姿で集結する異様な光景。5-4で勝つとベンチから殊勲の高木のもとへ、選手が飛び出した。優勝したかのような大盛り上がり。まるで、リーグVの「予行演習」のようだった。

 「トップチームを休ませることができた。J1のチームに若手が勝った」とストイコビッチ監督。天皇杯には「ベストメンバー規定」があるが、あくまで努力目標で罰則はない。リーグ最優先の思い切った起用で、直近の試合から先発は10人が変更され、結果的にそれが当たった。ベンチには18人まで入れるが登録は17人。今季のレギュラー11人は1人もいない。あくまで悲願Vを優先。出場14人中、8人が今季リーグ出場試合ゼロ。うち2人がプロデビュー戦だった。

 けが人続出の苦しい台所事情もあった。故障離脱中の闘莉王、金崎に加え、玉田とケネディも腰痛を抱えておりリスクは冒せない。天皇杯優勝チームには来季ACL出場権が与えられるが、すでにリーグでACL出場圏の3位以内は確定。王手のかかっているリーグは湘南戦後、中2日で東京戦(豊田ス)がある。無理しないのも当然だったが、勝利とともに思わぬ勢いまで、転がり込んできた。

 温存された主力は激闘に大いに刺激を受けた。DF田中隼は「ボクたちも負けていられない」。DF増川は「熱い気持ちを感じた。これは盛り上がる」。リーグVへ勢いを生むサプライズ勝利。流れは名古屋にある。【八反誠】