<J2:水戸2-1徳島>◇第8節◇23日◇Ksスタ
本拠地が被災し、メーンスタンドが使用できなくなったJ2水戸は、逆転勝ちした。
被災者へ勇気と希望を与えたい-。強い気持ちが奇跡の逆転ゴールを導いた。後半49分。途中出場のFW常盤聡(23)が左足を振り抜くと、放たれた一撃は逆転弾となってゴールに吸い込まれた。バク転を披露した殊勲者は、あっという間に歓喜の輪に包まれていった。
「被災者の方々に元気や勇気を与えられたら、と思った」と常盤は話した。再開初戦をホームで戦う被災地クラブは水戸だけ。震災で一部が損壊した本拠地は安全面を考慮してメーンスタンドの観客席を封鎖。バックスタンドとゴール裏のみ使用した。観衆は昨季平均の半分以下の1273人ながら、喜びをともに分かち合うことができた。
東日本大震災後、約2週間活動を休止。3月28日に再開し、何とかこの日にこぎつけた。連係面や体力面は未完成の状況。だが、被災地への思いを胸に躍動した選手たちを、柱谷監督も「内容やコンディションはいまいちでも、いい試合をしてくれた」と称賛した。
クラブOBの思いも受け取った。避難所訪問を控えた13日に水戸入りした名古屋DF闘莉王からは、GK本間と食事した際「何でも協力したい」とエールを送られ、横浜MF小椋からも震災翌日に「僕にできることがあれば言ってください」と連絡がきた。クラブ一丸でつかんだ1勝だった。
メーンの練習場は震災の影響で段差が生じており使用不能。本拠地改修は9月にずれ込む可能性があり、集客面の悪化が経営面に打撃を与えることも想定される。だが、試合後、選手たちは白いシャツを着て「共に進もう!みんな笑顔で!!」と被災者へのメッセージを送った。柱谷監督は「我々が元気に水戸を引っ張っていきたい」と言い切った。復興へ、今は前進を続けるだけだ。【菅家大輔】



