<J1:横浜1-3仙台>◇第27節◇24日◇日産ス

 仙台FW柳沢敦(34)が横浜戦で移籍後初、今季初ゴールを挙げた。1-1で迎えた前半12分、ゴール前で横浜DF中沢に1度体を当てて相手の体勢を崩し、梁からの左クロスを頭で合わせた。「自分でも記憶にない」という頭で後ろに流してのゴール。試合後「感触が良すぎて体に残っていない」と振り返った。これが決勝点となり、チームは4連勝。大逆転優勝に望みをつないだ。

 5戦ぶりのスタメンは、立ち上がりでミスした。開始3分、ピッチ中央付近でボールを奪われると、カウンターからいきなりの失点。「やってしまった」と頭を抱えた。だがMF松下に「これでみんな落ち着きますよ」と励まされた。

 8月20日の名古屋戦で無人のゴールにシュートを外すという失態を犯した。試合中にもかかわらずMF角田から「柳沢を交代させろ」との声が上がった。手倉森監督は「あそこですぐ代えていたらヤナギは立ち直れなくなる」と即時の交代は避けたが、試合後はミックスゾーンに姿を見せられないほどのショックだった。同30日、仙台を訪れた横浜FCのカズからは「ナイスシュート」とからかわれた。柳沢は「カズさんが見ていてくれただけでうれしかった」と発奮した。そのカズらと並び、J1でゴールしたシーズンが歴代2位の通算14年となった。

 8月4日に亡くなった元日本代表の故松田直樹さん(享年34)への思いも込めた。「(松田の)横断幕を見ながらプレーした。ここ(日産ス)での記憶がたくさんある。また新しい思い出がつくれた」。忘れることができないJ1通算102ゴール目となった。【三須一紀】