明日14日に迫った静岡ダービーを前に12日、五輪日本代表候補組が宮城県内での合宿を終えてチームに合流した。清水から代表候補に初招集されたFW大前元紀(22)は、合宿で得た手応えを胸にゴール、そして宿敵撃破を誓った。

 伝統の一戦まであと2日に迫った大前の表情は、一段と頼もしさが増していた。完全非公開の練習後に取材に応じると、はっきりとした口調で「磐田に勝てば順位も入れ替わる。チームはもちろん、個人的にも大事な試合になる。絶対に負けてはいけない」と言った。

 神戸戦翌日の8日、念願の五輪代表候補に追加招集された。11日の仙台との練習試合では左サイドハーフとして後半の45分間プレー。豊富な運動量でピッチを駆け回り、十分に存在感を示した。大前は「落ち着いてできたと思う。追加招集とはいえ、選ばれたことに自信を持ちたい。自分にとっていい刺激になったし、今後の好材料にしていきたいと思う」と力を込める。

 手応えをつかんだ初の代表合宿での4日間は、心身の充実にもつながった。チームは4月のハード日程を考慮し、11日に完全オフを取った。一方、大前は無休の状態が続くが「全然大丈夫です。調子も悪くない」ときっぱり。アフシン・ゴトビ監督(48)も「何も問題はない」と合流初日を振り返った。

 昨季、リーグ戦全34試合出場を果たし、チーム最多の8得点を記録。今季は自然と周囲からゴールを要求されることが多くなった。「ゴールを決める選手だと思ってもらえることはいいこと。五輪に行くためにも結果を出すしかないし、好調へのきっかけになるのも絶対に得点。まずは1点を取りたい」。チームにとっても10年11月以来の3連勝が懸かる大事な一戦。さまざまな思いが込められた一撃を、元紀が磐田ゴールに突き刺す。【前田和哉】