ヨシカツが笑顔で帰ってきた!!

 3月に右アキレス腱(けん)を断裂する重傷を負った磐田GK川口能活(37)が21日、8カ月ぶりに全体練習に復帰し、負傷後初めてフルメニューを消化した。ゲーム形式の練習では鋭い反応からビッグセーブを連発して健在ぶりをアピール。居残りで個人トレーニングを行うなど、精力的に体を動かし「年内にはできる状態になれそう」と、早期の実戦復帰を約束した。

 練習グラウンドに川口の声が響き渡った。GK陣だけで行うウオーミングアップを終えると、全体練習に合流。コートを区切って行うシュートゲームでいきなり好セーブを見せた。8対8の実戦形式ではMF小林祐が至近距離から放った強烈なシュートを右手1本ではじき返す。その後も、的確なコーチングで指示を出し続け、時には声を張り上げてチームメートを鼓舞した。

 約2時間のメニューをこなすと、そのまま個人練習を敢行。予定より2カ月遅れの復帰になったが「乗り越えられたことがすごくうれしい。みんなとできたことがよかった」と声を弾ませた。サッカーができる喜びを心からかみしめるように、練習中には自然と笑みがこぼれていた。1人で黙々とリハビリを続けた日々から解放された。8月で37歳。年齢的なことを考えれば、引退の引き金になりかねない大けがを「最近、心から笑っていなかったからね。やっぱりサッカーが好きなんだと思った」という言葉で振り返った。

 次の目標は実戦復帰。チームドクターからはフルコートでのゲームは禁止されている。川口も「まだ完全ではない。焦らずにやっていきたい」と慎重な姿勢を崩さない。それでも12月15日、天皇杯4回戦の鹿島戦で復帰できる目途は立った。森下申GKコーチも「あと1、2週間ぐらいではないか」と太鼓判を押した。

 今季は4シーズンぶりにチーム主将に復帰した。開幕戦でJ史上3人目のリーグ通算100完封を達成し、翌週の鳥栖戦ではJ1通算400試合出場も果たした。順調なスタートを切った直後の負傷。アクシデントが襲った3月22日からちょうど8カ月。川口は「全ての感覚が戻ってきたわけではないけれど、反応できているボールはあった。チームからOKが出たらすぐいけるように準備だけはしておきたい」。止まっていた時間が再び動きだした。【神谷亮磨】<川口復帰への歩み>

 ◆負傷

 3月22日の練習で4対4のミニゲーム中、捕球体勢に入った瞬間に負傷。そのまま浜松市内の病院に直行し、同日中に手術。右アキレス腱(けん)断裂で全治6カ月と診断され、5日間入院した。

 ◆公の場

 4月19日にクラブが行う小学校訪問で磐田豊田南小へ。手術から1カ月が経過し、初めて公の場に姿を見せて復帰に向けた心境を語る。

 ◆リハビリ開始

 4月25日に負傷後初めてクラブハウスを訪れ、リハビリをスタート。この時点で自力で歩けるまで回復していた。

 ◆本格リハビリ

 7月上旬からジョギングを始め、同11日に初めてキャッチングを行った。

 ◆部分合流

 11月13日、GK練習に復帰。対人プレー以外のメニューをこなした。

 ◆完全合流

 11月21日、チームの全体練習に復帰。