<天皇杯:清水3-2ツエーゲン金沢>◇14日◇3回戦◇アイスタ

 清水がツエーゲン金沢(JFL)を下し、4回戦に駒を進めた。前半20分にCKから先制点を献上も、同ロスタイムにFW大前元紀(23)が同点弾。後半45分に途中出場のFW高木俊幸(22)のゴールで勝ち越すと、同点とされた同ロスタイムに、再び高木俊がネットを揺らした。格下相手に苦戦を強いられたが、昨季ホットラインを形成した大前、高木俊の活躍で、最後はJ1の面目を保った。

 清水が誇る若きストライカーの大前と高木俊が、チームを救った。1-1の同点で迎えた後半45分。途中出場のFW高木俊が右足を振り抜き、勝ち越した。しかし、相手は天皇杯の醍醐味(だいごみ)でもあるジャイアントキリングを狙うJFLの金沢。直後の同ロスタイムに一瞬の隙を突かれ、同点ゴールを許してしまった。

 クラブスタッフすら延長戦の準備を整える中、高木俊は違った。「不思議とあまりがっくりしなかった。鹿島戦みたいに『自分が点を取る』みたいな感覚があった」と、途中出場からプロ初のハットトリックを決めたリーグ鹿島戦同様の感覚を抱いていた。すると、ロスタイム表示の4分を経過したラストプレーでその予感が的中する。

 FWラドンチッチ(30)のヘディングパスに抜け出すと、右足一閃(いっせん)。値千金の決勝点がネットに突き刺さり、直後に歓喜の笛が鳴った。

 まさかの先制点献上から始まったこの試合。アフシン・ゴトビ監督(49)は「最初の20分はキレを欠いた」。手詰まり状態だった雰囲気を一蹴したのが、前半ロスタイムに絶妙なループを決めたFW大前だった。昨季、ホットラインからチームに何度も勝ち点3をもたらした2人が、再び勝利をもたらした。

 6試合を残すリーグ終盤戦に向けて、2人の好調は頼もしい。とはいえ、格下相手に苦戦したのも事実。大前は「こういう試合になったことを受け止めて修正したい」。高木俊も「コンスタントに点が取れるようにしていかなければ」と、反省も忘れなかった。【前田和哉】