<天皇杯:大分1-2横浜>◇準々決勝◇22日◇大銀ド

 リベンジに燃える横浜が、延長戦の末に大分を振り切って、3年連続ベスト4入りを決めた。延長前半4分、MF富沢清太郎(31)が強烈なミドル弾で勝ち越した。まさかのリーグ戦V逸のショックを振り払い、天皇杯のタイトル取りに突き進む。

 選手全員の思いがつまったゴールだった。1-1で迎えた延長前半4分、MF富沢が右足で放ったシュートが地をはいながら、ゴール左隅に吸い込まれた。値千金の決勝点。MF富沢は「すべてが、自分のタイミングに入ったみたいだった」。信じられないといった表情で、ゴールを振り返った。

 リーグ戦で優勝争いのトップに立って、残り2試合で1勝すれば優勝という圧倒的に有利な状況から、まさかのV逸。精神的にも、肉体的にもショックを振り払いたかった。後半27分に、MF中村のCKから、DF栗原が先制。「ニアに走ってみたら、いいボールがきたんで」。その後、大分に追いつかれた。DF中沢が言う。「単純なミスもあったし、(横浜)らしくないプレーもあった」。我慢を重ねて、勝利をもぎとった。

 樋口靖洋監督(52)の口もなめらかだった。「リーグでは残念な結果に終わり、メンタル的にも体力的にも、どこまで回復しているかが問題だったが、選手はよくやってくれた」。リーグ戦後、4日間完全オフにした。V逸に号泣したMF中村は1泊2日で選手会長のDF天野と、今年限りで退職するスタッフをつれて、熱海に慰安旅行した。リーグ戦の反省、天皇杯への切り替え、そしてチームの「輪」を図った。樋口監督は言う。「なんとか、あとふたつ勝って、天皇杯のタイトルを取りたい」。準決勝は川崎Fを破った鳥栖が相手。リーグVの宿敵・広島も勝利した。決勝で直接対決し、リベンジを果たすまで、負けられない。【浦田由紀夫】