<天皇杯:東京0-0(PK4-5)広島>◇準決勝◇29日◇国立

 日本代表GK西川周作(27)が神懸かり的なセーブ連発で、広島を6大会ぶりの決勝へ導いた。120分の死闘を乗り越え、迎えたPK戦。背後から東京サポーターのブーイングを受けながら、主役を演じたのは西川だった。

 「決められたら終わりだったので、自分を信じるしかなかった。自信がある方に跳ぼうと思っていた」。先に味方2人が外し、決められれば敗退が決まる4人目。西川は迷わず右に跳んで東京三田のシュートを右手でセーブ。ここから奇跡の大逆転劇が始まった。

 西川は雄たけびを上げると、そのまま志願して4人目のキッカーに。失敗すれば今度も敗退が決まる究極の場面だ。簡単にゴールネットを揺らすと、今度はGKとして東京5人目長谷川、7人目石川のキックをセーブ。計3人のキックを止める活躍だ。準々決勝から2試合連続のPK戦だ。

 プロで初めて務めたPKのキッカーに、西川は「ゴールを決めたのは高校生(大分ユース)の時のFK以来。この経験が代表にもつながる。すべては代表のゴールマウスを守るため」。来季は浦和移籍が決定的だが、今はJリーグ発足後、クラブ初の天皇杯優勝しか頭にない。ゼロックス・スーパー杯、J1リーグに続く今季3冠は目の前だ。【福岡吉央】