<J3:相模原2-3U-22選抜>◇第18節◇20日◇ギオン

 16年リオデジャネイロ五輪を目指す22歳以下の選手で参戦するJリーグ・アンダー22選抜(U-22選抜)が、W杯後の初戦を白星で飾った。U-21日本代表候補のボランチ原川力(20=愛媛)の先制アシストなどで相模原に勝利。スイスリーグ開幕戦で得点したFW久保裕也(20=ヤングボーイズ)と中学からの同級生で、ともに2年後の五輪を目指す親友に負けじと第1歩を踏み出した。

 W杯中断明けの試合でU-22選抜を勝利に導いたのはMF原川だった。前半7分、左CKのキッカーとして右足でボールを上げる。これがニアサイドのDF高橋祐の頭をとらえ、先制点が決まった。その後も中盤の底で正確にパスを散らす。元日本代表MF中田英に似た風貌の司令塔が、さらに2点を奪う起点になった。

 今年1月のU-22アジア選手権で全4試合に出場し、初戦のイラン戦で手倉森ジャパン1号となる先制点を挙げたボランチ。6月の大阪合宿は左膝の負傷で招集を見送られたが、手倉森監督は今月13日、原川が所属する愛媛の天皇杯2回戦(対岡山)を視察するために広島県福山市まで足を運んでいる。膝の回復具合の確認が目的とみられ、9月のアジア大会に向けて再招集が期待される注目株だ。

 リオ五輪を、海外で活躍する親友と目指している。ザックジャパン招集歴のあるFW久保とは山口・鴻南中の同級生。2人で京都の下部組織にスカウトされ、ともにトップ昇格。久保はスイスへ、原川は出場機会を求めて愛媛へ期限付き移籍した。横浜の日本代表FW斎藤が登竜門としたクラブで開幕から出場し「移籍は正解。試合に出ることで見えてくるものがある」と国内で経験を積んでいる。

 この日朝、久保がスイスリーグ開幕戦で同点ゴールを挙げた。「普段から連絡を取ってるし、小学校から知ってる選手が海外で結果を残してるのは励みになる」と発奮材料にする。W杯が終わったことで「五輪をイメージしやすくなった」。ほかにライバルもいる中で、2人とも2年後に輝けるか。リオへの競争が国内外で始まる。【木下淳】

 ◆初招集

 MF原川がU-22選抜初参加。本来はJリーグで出場機会に恵まれない選手が実戦経験を積むチームのため、所属の愛媛で主力の原川は呼ばれなかった。しかし、愛媛の今節の相手がレンタル元の京都で試合に出られない契約を結んでいるため、今節だけU-22選抜に招集された。

 ◆原川力(はらかわ・りき)1993年(平5)8月18日、山口市生まれ。サッカーを始めたレオーネ山口では女子INAC神戸のMF田中陽子と同期だった。12年に京都U-18からトップ昇格。同年7月22日の愛媛戦でJデビューした。J2通算28試合無得点。今年3月に一般女性と結婚した。利き足は右。175センチ、72キロ。血液型O。