第一生命女子陸上部の山下佐知子監督(50)は13日、物議を醸した世界選手権(8月、北京)女子マラソン選考についてあらためて説明を求める考えを示した。24日に来年度のナショナルチームの打ち合わせで強化部の会議があり、「本来は選考基準を話す場ではないですが、時間がほしい。代表を考え直してほしいのではなく、今後の選考のために聞きたい」と述べた。

 11日に発表された女子代表3人には、横浜国際を制した教え子の田中智美が選出されなかった。選考レース唯一の優勝者だったが、選ばれたのは大阪国際で日本人首位の3位の重友梨佐。田中の落選理由を、日本陸連の酒井強化副委員長は「世界と戦うにはレース内容が物足りない」と説明。日本陸連の設定タイムの2時間22分30秒を狙ったかどうかを判断基準に挙げたが、山下監督は「そこがそんなに評価されることは周知徹底されていなかった」と指摘する。

 ペースメーカーの有無なども大会任せで、設定タイムへの「挑戦」に優先度を置くことは共有化されていなかった。来年には16年リオデジャネイロ五輪も控える。基準が不明瞭なままでは強化策にも影響する。「今後の選考にあいまいな点を残したくない」。正常化のために、直談判に踏み切る。【阿部健吾】

 ◆世界選手権の代表選考 女子は名古屋ウィメンズ3位(2時間22分48秒)の前田彩里と4位(2時間24分42秒)の伊藤舞、大阪国際3位(2時間26分39秒)の重友が選ばれた。一方で横浜国際に優勝(2時間26分57秒)した田中は漏れた。選考基準では横浜国際、大阪国際、名古屋の日本勢上位3人と北海道の最上位から「本番で活躍が期待できる選手を選ぶ」とされていた。タイム、順位、レース運びの評価の優劣は明確でなかった。五輪、世界選手権で、北海道をのぞく選考レースの優勝者が選ばれなかったのは、92年バルセロナ五輪の代表を漏れた谷川真理、大江光子以来23年ぶり。