住友電工陸上部監督に就任する渡辺康幸氏(41)が19日、都内で会見して「駅伝卒業」を宣言した。早大監督から4月1日付で入社する渡辺氏は「選手、指導者として箱根駅伝に守られてきたが、これからは駅伝はない。マラソン選手を育てたい」と言い切った。

 選手で活躍し、監督としても早大を優勝に導いた駅伝だが、未練はない。指導法にも言及し「距離を踏む練習は、何十年も前から変わらない。上の意見が強くて、練習パターンも少なすぎる」と、代わり映えのしない考え方に苦言。「スピードがないと世界では通用しない。駅伝の指導では勝てない」と力をこめた。

 会見に同席した同社の松本正義社長(70)も後押しした。「坂ばかり登る競技など世界にはない」と箱根駅伝をバッサリ。返す刀で「距離も、スピードも中途半端」とぶった切った。大阪陸協会長でもある同社長の考えに、渡辺氏も「駅伝はいいと言う社長は、そういない」と感謝した。

 同社には早大時代に指導した08年北京五輪代表の竹沢健介も所属。「彼を復活させないと」と話した。目標は20年東京五輪マラソン選手の育成。「2、3年で結果を出したい。ダメな時はたたいていただいてかまいません」と、決意を込めて話した。【荻島弘一】