IAAF(国際陸連)ワールドチャレンジ第3戦「セイコーゴールデングランプリ」(日刊スポーツ新聞社共催)が8日、等々力陸上競技場で開催される。世界から集結するトップアスリートに挑む日本の6選手を紹介する。第5回は男子200メートルに出場する12年ロンドン五輪代表、飯塚翔太(24=ミズノ)。

 今、乗りに乗っている男だ。自己ベストよりも0秒07遅い日本陸連の派遣設定記録20秒28の突破について「チャンスはどこかで出てくると思うので、ちゃんと力を見せたい。狙っていきたい」と口にする。同種目のライバルは自己ベスト20秒13の藤光、同20秒14の高瀬だが、後れを取るつもりはない。

 身長185センチ、体重80キロ。3日の静岡国際決勝では最大の武器である後半の強さが存分に発揮された。

 飯塚はコーナーを抜けて2番手。先をいくサニブラウンにぐいぐい迫る。「自分の原点とする走り」で差し切ってフィニッシュ。追い風1・0メートルで20秒38。昨年の世界選手権北京大会で準決勝進出相当のタイム。「久々に自分の走りができた。自信はあった」。昨年はけがに泣いたが、五輪を前に仕上げてきた。

 「カール・ルイス級」のバックアップも受ける。2年間かけて開発に携わった専用スパイクが完成。所属のミズノ社は、飯塚のために靴底の素材から新しくした。同社陸上部の中村哲郎監督は「末続(慎吾)選手の時も意見を取り入れたが、素材までは開発してなかった。カール・ルイスの(専用スパイク開発の)ころにやったくらいだと思います」。飯塚専用スパイクは、来年春夏モデルとして商品化も予定されている。

 同種目の五輪代表争いは激戦区だ。飯塚は、静岡国際でサニブラウンに先勝。今大会で、派遣設定記録突破で代表争いの1歩先をいく藤光、高瀬を撃破すれば、復活を大きくアピールできる。今季4戦目を迎えて心身ともに充実した24歳が、会心のスプリントをさく裂させる。【益田一弘】