20年東京五輪で男女マラソンの代表選考方式がガラッと変わる。日本陸連が19年秋以降に開催する選考レースで、男女上位各2人を代表に決める新方式を導入する方向で調整していることが29日、分かった。「決勝」レースには、今夏から19年春まで「予選」となる主要大会で上位成績を出した選手が進む2段階選考となる。従来は異なるレースの成績を比較する方式で議論を呼んだが、選考の透明化が期待できそうだ。

<過去の選考もめ事>

 ◆はってでも 88年ソウル五輪男子代表をかけ、87年12月福岡国際が一発選考会とされたが瀬古利彦が故障欠場。中山竹通は「はってでも出てこい」というニュアンスの発言で波紋を呼ぶ。日本陸連が3月のびわ湖を「追試」に認め非難を浴びたが、瀬古は優勝して代表に。

 ◆アピール会見 92年バルセロナ五輪女子代表争いは世界選手権4位の有森裕子と、大阪国際で有森のタイムを上回る2時間27分2秒を出した松野明美との争いに。松野は異例の記者会見で「私を代表に選んでください」とアピール。結局、有森が選ばれ銀メダル。

 ◆最高記録の落選 96年アトランタ五輪前、鈴木博美は大阪国際で2時間26分27秒と、女子代表候補の中では最高タイムを出しながら落選。一時は小出監督が鈴木を強く推薦するなど論議を呼んだ。

 ◆早期内定に疑問 00年シドニー五輪女子代表争いは、前年世界選手権で市橋有里が2時間27分2秒の銀メダルで早々と内定。だが11月東京で山口衛里が優勝、1月大阪国際で弘山晴美が2位、3月名古屋国際で高橋尚子が優勝。3つの選考レースで2時間22分台の好タイムが連発された。最後は弘山が涙をのみ、早期内定に批判の声も出た。

 ◆もう1回? 昨年のリオ五輪女子代表争いでは、福士加代子が1月の大阪国際で派遣設定記録を破る2時間22分17秒で独走優勝。レース後に「リオ、決定だべ」と絶叫。しかし、その場で内定が出ず、3月の名古屋ウィメンズにエントリー。結局、出場は取りやめたが波紋を呼んだ。