<山口国体>◇9日目◇9日

 成年男子1万メートル競歩には世界陸上20キロ競歩8位の鈴木雄介(23=富士通)、50キロ競歩6位の森岡紘一朗(26=富士通)と2人の入賞者(=ロンドン五輪代表)が出場したが、2週間前の全日本実業団を制した藤沢勇(23=ALSOK)が優勝した。

 6000メートル過ぎで森岡とのマッチレースとなったが、残り2周からスパートして40分13秒62で逃げ切った。

 今年は2月の日本選手権は途中棄権、3月の全日本競歩でも敗れて世界陸上代表入りを逃した藤沢。「全日本実業団と国体で2人に勝つことで目立てれば、と考えていました。2人に負け続けると、ロンドン五輪候補から消えていってしまいますから」。藤沢の意地が勝ったレースだった。

 4連勝を逃した森岡は「勝ちたかった。7000メートルで早めに仕掛けましたが、そこでついて来られたのが敗因」と悔しがった。しかし、世界陸上入賞者の自分が国内で負けたことについては「藤沢も世界で通用する力がある。お互いに勝ったり負けたりすることで、日本の競歩界が強くなればいい」と肯定的にとらえた。自身については「長所であるスピードをもう1度研いてロンドン五輪に向かいたい」と前を見据えた。