ロンドン五輪イヤーのトラック&フィールドが開幕する。ワールドチャレンジ・ミーティングス第1戦のメルボルン・トラック・クラシックが3月2、3日、メルボルン(オーストラリア)で行われ、世界のトップ選手が出場を予定している。日本からも五輪代表を狙う選手たちが出場する。

 大会の看板選手は地元豪州のサリー・ピアソン(25)だ。昨年の大邱世界陸上女子100メートルハードルの金メダリスト。この種目は1990年前後の記録が世界歴代上位を占めるが、ピアソンの優勝記録の12秒28は今世紀世界最高記録(歴代4位)であり、世界記録に0・07秒と迫る価値の高いタイムだった。この実績で男子のウサイン・ボルト(25=ジャマイカ)とともに、昨年の国際陸連最優秀選手に選ばれた。

 今季の動向が最も注目される女子選手であるピアソン。そのビッグレース第1戦となる今大会のタイムが注目される。南半球のシーズンは北半球とは異なるが、五輪本番を考えたらまだシーズンは浅い。今大会で12秒台前半を出すことができれば、今季中の世界記録更新も期待できそうだ。

 もう1人の注目選手は男子800メートルで1分41秒01の世界記録を持つデービッド・ルディシャ(23=ケニア)。世界記録を更新した一昨年、世界陸上に優勝した昨年と、この大会に出場して2年とも1分43秒台で優勝した。今年も同程度の記録が期待される。

 男子1500メートルにはアスベル・キプロプ(22=ケニア)が出場する。昨年の世界陸上金メダリスト。世界チャンピオンが走る男子中距離2種目は世界的にも関心が高い。

 大会初日の2日は日本選手が5人出場を予定している。一番の注目は男子100メートルの江里口匡史(23=大阪ガス)だろう。男子短距離のエース的な選手だが昨年は世界陸上に個人種目で出場することができなかった(リレー種目で出場)。しかし、秋に10秒14とロンドン五輪のA標準(10秒18)を突破。3月初旬の屋外試合に出場するのは初の試みだが、どのくらいのタイムで走るか注目される。

 女子800メートルには久保瑠里子(23=エディオン)が出場。昨年2分1秒90の日本歴代2位の記録をマークし、今季は五輪B標準の2分1秒30突破を狙っている。

 男子400メートルハードルには09年のベルリン世界陸上で準決勝に進んだ吉田和晃(24=大阪ガス)、男子400メートルには04年アテネ五輪男子4×400メートルリレー4位入賞メンバーの山口有希(28=大阪ガス)も出場する。