陸上の静岡国際が3日、静岡県小笠山総合運動公園エコパスタジアムで行われる。春季グランプリの第4戦として男女16種目が行われ、ロンドン五輪代表選考競技会にも指定されている。エコパスタジアムはトラックで追い風となる部分が多く、過去にも周回種目で好記録が生まれてきた。

 女子短距離も面白くなりそうだ。

 200メートルには福島千里(23=北海道ハイテクAC)が出場する。2年前に22秒89の日本記録を出した相性の良い大会。記録のレベルが高くなっているので簡単ではないが、風などの条件に恵まれれば日本新の可能性はある。

 ライバルの高橋萌木子(23=富士通)も今季は、得意の後半により磨きをかけている。2年前の日本選手権のように、フィニッシュ前で福島を逆転できるか。

 この種目には昨年の世界陸上400メートルのアマントル・モントショー(ボツワナ)が出場する(6日のゴールデングランプリ川崎で400メートルに出場)。200メートルは23秒01がベスト。400メートルのタイムから推測すると22秒台中盤は出せるだろう。前半は福島が先行し、それをモントショーと高橋が追う展開になる。役者が揃った見応えのあるレースになりそうだ。

 女子400メートルには日本記録保持者の千葉麻美(26=東邦銀行)の国内復帰戦になる。昨年9月に女児を出産。4月にアメリカで2試合に出場し、2試合目で55秒37まで戻してきた。日本代表クラスの短距離選手が出産後に復帰した例は初めて。どんな走りをするのか注目される。

 そして女子400メートルリレーは43秒39の日本記録更新を狙う。

 ロンドン五輪出場枠は2大会平均記録の上位16国。日本は昨年のゴールデングランプリ川崎で出した日本記録と、アジアグランプリ第1戦の43秒65が有効記録。現在世界で11番目あたりだという。アベレージを少しでも良くすることと同時に、ロンドン五輪本番で戦えるタイムを出すのが目的。今大会と6日のゴールデングランプリ川崎で、42秒台に少しでも近づきたい。

 メンバーは大会前日に決定される。日本記録をマークした昨年のゴールデングランプリ川崎は1走から北風沙織(27=北海道ハイテクAC)、高橋、福島、市川華菜(21=中京大4年)のメンバーだった。先日の織田記念100メートルの上位4人は福島、土井杏南(16=埼玉栄高2年)、高橋、北風。静岡のメンバーもこの中から選ばれるだろう。

 特に注目されるのは高校2年生の土井の走り。織田記念でジュニア日本新を出した勢いを生かしたい。ここ数年、2走・高橋と3走・福島は固定してきた。土井が走るとしたら1走か4走ということになるが、周囲が驚くような走順もあるかもしれない。

 土井は冬期の陸連合宿などにも参加し、昨年から導入したアンダーハンドバトンパスの練習も積んできた。明るい性格でプレッシャーをはねのけてきた選手。日本チームデビュー戦でも臆することなく走ってくれるだろう。

 女子200メートルと400メートルリレー以外で日本新が期待できるのは、女子400メートルハードルの久保倉里美(30=新潟アルビレックスRC)、女子やり投げの海老原有希(26=スズキ浜松AC)、そして男子800メートルの横田真人(24=富士通)。福島も含めた4人は自身の持つ日本記録に挑戦する。

 そして、男子トラック種目で最も古い日本記録が男子400メートルで、1991年に高野進(現陸連強化委員長)が出した44秒78。金丸祐三(24=大塚製薬)には21年ぶりの日本新を期待したい。