陸上のダイヤモンドリーグ第5戦のビスレットゲームが6月7日、ノルウェーの首都オスロで行われる。昨年の国際陸連アスリートオブザイヤーに選ばれたウサイン・ボルト(25=ジャマイカ)とサリー・ピアソン(25=オーストラリア)が揃って出場する。

 男子100メートルに出場する世界記録保持者のボルトは、3日にオスロ入り。具体的な目標タイムこそ口にしなかったが、「前回ここに来たときも良いレースができたので、オスロで走るのは楽しみ。全力を尽くすし、観客が見たいものを見せられると思う」と自身に期待しているような話しぶりだった。

 5月31日のダイヤモンドリーグ・ローマ大会は9秒76の今季世界最高で快勝した。向かい風0・1メートルのなかでの記録。適度な追い風になるなど気象コンディションに恵まれれば、9秒6台も期待できる。ボルトのセカンド記録が9秒69。オスロでそれを上回れば次は、9秒58の世界記録に照準を定めることになる。

 女子100メートルハードルに出場するピアソンは5日に会見に臨み、「12秒4台を出すトレーニングはできている」と手応えを話した。自己3番目の記録が12秒48で、自己1、2番目の記録は昨年のテグ世界陸上の決勝と準決勝。12秒48を上回れば世界陸上以外では自己最高タイムとなる。

 ピアソンがアスリートオブザイヤーに選ばれたのは、昨年の世界陸上の12秒28が評価されたから。世界歴代4位だが1993年以降の記録としては最高タイム。12秒21の世界記録更新も期待されるようになった。ピアソンは「最終的には破りたい記録ですね」と笑顔で話した。

 男子400メートル障害のデービッド・グリーン(26=イギリス)、棒高跳びのパウェル・ボイチェホフスキ(23=ポーランド)ら、ボルトとピアソンを含めると昨年のテグ世界陸上優勝者が8人出場する。

 なかでも記録的な期待が大きいのは男子三段跳びのクリスチャン・テイラー(21=アメリカ)だ。昨年17メートル96の世界歴代5位をマーク。1998年を最後に途絶えている18メートルジャンプが見られるかもしれない。

 また、女子走り高跳びの北京五輪金メダリストで、2児を出産して復帰したティア・エルボー(34=ベルギー)も注目される。

 ◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する最高カテゴリーの競技会シリーズ。今季はドーハ大会を皮切りに9月のブリュッセル大会まで全14戦が開催される。各大会の種目別優勝賞金は1万ドル(2位6000ドル~8位1000ドル)。各大会のポイント合計で争われる年間優勝者には4万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝。緊張感あるレースが次々に行われる。また、オリンピックや世界陸上のように1国3人という出場人数の制限がない。ジャマイカ、アメリカ勢が揃う短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目などは、オリンピックや世界陸上よりも激しい戦いになる。