エスビー食品が31日、経営合理化を理由に男子マラソンの瀬古利彦ら多くの五輪選手を輩出した陸上部を来年3月末で廃部すると発表した。同社のスポーツ推進局局長を務める瀬古氏は、東京都内で記者会見し「本当に寂しい。現役の時は多少恩返しできたが(指導者としては)会社を満足させられなかったという気持ちもある」と苦渋の表情で話した。

 1954年創部で、80年代には中村清監督(故人)の下で大学の有力選手が続々と加入し、全日本実業団駅伝で4連覇を果たした。マラソンでは84年ロサンゼルス五輪に瀬古、女子の佐々木七恵が出場。88年ソウル五輪でも瀬古と新宅永灯至(ひさとし)が出場し、所属するケニア人のダグラス・ワキウリが銀メダルを獲得するなど、日本の長距離界に大きな足跡を残した。

 現在は2008年北京五輪男子長距離代表の竹沢健介選手や上野裕一郎選手ら6人が所属する。瀬古氏は、自身を含むスタッフ6人と合わせ「基本的には12人全員が一緒というのを前提に企業を探したい」と受け入れ先を探す方針を示した。