<陸上:ダイヤモンドリーグ最終戦バンダム記念>◇7日◇ブリュッセル

 男子110メートル障害でアリス・メリット(27=アメリカ)が世界新をマークした。メリットは「記録が出やすいトラックだと感じていたし、今日はプレッシャーもなく、技術的にも良いレースができた。競技人生でベストレースだったと思う」と自身の走りを振り返った。

 驚かされたのが、ダイロン・ロブレス(25=キューバ)の記録を0.07秒も更新したことだった。電気計時の記録が公認されるようになった1977年以降の世界記録の変遷は以下の通り。13秒21(1977年):アレハンドロ・カサナス(キューバ)13秒16(1979年):レナルド・ニアマイア(アメリカ)13秒00(1979年):レナルド・ニアマイア(アメリカ)12秒93(1981年):レナルド・ニアマイア(アメリカ)12秒92(1989年):ロジャー・キングダム(アメリカ)12秒91(1993年):コリン・ジャクソン(イギリス)12秒91(2004年):劉翔(中国)12秒88(2006年):劉翔(中国)12秒87(2008年):ダイロン・ロブレス(キューバ)12秒80(2012年):アリス・メリット(アメリカ)

 今回の0.07秒は史上2番目タイの更新幅の大きさであり、12秒台となってからは0.01~0.03秒の間でしか更新されてこなかった。

 100メートルに優勝したウサイン・ボルト(26=ジャマイカ)は「0.07秒はとてつもなく大きな前進だ。アリエスはそれができる選手だと思う」とコメント。

 驚きはメリット本人が一番大きかったかもしれない。「12秒80が表示されたときは、ただただ衝撃的だった。12秒85が想定していた一番良い記録で、携帯電話のパスワードも“1285”にしていたくらいだから。数字を変えないといけないな」

 新しいパスワードは127…いくつだろうか。